劇団猿面劇団猿面第21回公演 劇場風景

STAGE21

2023年「星影さやかにさやか」
2023年11月18日/19日

↓ END


猿とオリオン

いらっしゃいませ。

このページでは、2023年11月公演の小屋入りから公演当日の様子をお届けします。
前回公演、2019年第20回の劇場風景ではお届け出来なかった風景を満載しました。
猿面達が特段の思いでつくり上げた「星影さやかにさやか」の公演期間中の風景です。どうぞごゆっくりご覧ください。

仕込み風景 公演ウラ話 公演後記 舞台写真


仕込み風景

11月14日 小屋入り

小屋入りの朝。快晴でした。開館時間前に集合している猿面達。
劇場は、暖房が入らないと冷えますので、皆それぞれ寒さ対策で着込んでいます。

受付時間になり、正面玄関に向かう代表。こちらの入り口は搬入口なので、荷物を車から運び込むメンバーは、代表がこの扉を開けるまで、この場で待機です。


小屋入当日は、セット作りと、照明と音響を出来るところまでやる、というザックリで過密なスケジュールでした。
もちろん猿面恒例の舞台上の掃除もしました。
舞台上だけでなく、衣装を置くために舞台袖やホリゾント裏、楽屋の畳もくまなく雑巾掛けをしました。
舞台上・舞台袖は、土足の場所なので、水拭きすると雑巾が真っ黒になります。二度拭き、三度拭きして汚れを取りました。
時間は掛かりますが、公演のために雑巾掛けが出来る幸せを噛み締めながら、お世話になる舞台をきれいにしました。

猿面にしては大がかりなセットだった、懐かしい昭和を思わせる「物干し台」。
2019年に皆であーだこーだと検討し、形を決めて、木材をノコギリで切り、舞台監督の手腕で組んだ大作でした。

この写真は、2019年に、セットに関する打ち合わせの時に撮影したものです。
野上が舞台セットの尺度を合わせた模型を工作してきて、舞台監督を交えたメンバーでどう作るか、配置をどうするか検討しました。
模型まで作り、打ち合わせしたのは初めての事でした。
それほど、この物干し台セットは、大作で、芝居の中でも重要な役割を持っていました。

「来年の公演ですぐに使うから」
と、信じて疑っていませんでしたので、公演後のバラしで次回組み立てが楽になるように、木材に番号をつけて、パーツごとに紐で縛り、シズカさん宅で保管していました。
猿面自慢の何でも作ってくれる舞台監督も、まさか公演が4年後になるとは思っていなかったので、当時の記憶に自信がなかったようですが、実際、作業に入ると、順調に組み立てて、あの時の物干し台を再現してくれました。


丸ちゃん登場

昨年2022年の猿面ショーにもお手伝いに駆けつけてくれた丸ちゃん、1年ぶりの登場です。

この日は大道具要員として活躍してくれました。
こちらも手先の器用な頼れるメンバー。
電動工具持参で来てくれて大助かりでした。

公演中は、受付会場係として頑張ってくれました。
4年ぶりの打ち上げにも参加。
久しぶりでも、久しぶり感のしない、皆に優しいマイルドな丸ちゃん。
また次回公演も参加してくれる予定です!


新・スタッフ劇団員 誕生!

そして、この日はもう一人、ありがたいお手伝いの若者が参加してくれました!
少年の頃からお手伝いに来てくれ、今や青年となったTO-YAさんです。
今回の動画版劇場風景(近日公開、お待ちください)撮影中に、もう劇団員(スタッフ劇団員なので出演予定はありませんが)でいいよ、と言ってくれたので、もう劇団員です。これはという人材は引きずり込まれる劇団猿面。
未成年の頃、お顔はモザイクで隠していましたが、もう成人したので出しちゃっていいとなりましたので、猿面ショーの劇場風景では顔出しで登場しています。

セット作りや、ショーコのお手伝いでゼラ(ライトに入れるカラーフィルター)の用意、受付会場の手伝いや、公演後のバラシの為の記憶係(一気にバラすので、大事な片付けものを忘れず片付けられるように、若い記憶力に丸投げする猿面体質)などなど、たくさん用事を言いつけられて、こき使われましたが、文句も言わず働いてくれたTO-YAさん。
貴重な人材を確保でき、その点でも実りある公演でした。


こちらは照明チームの作業です。
照明の親分はシズカさんです。4年ぶりの作業ですが、こちらもブランクを感じさせない仕事ぶり。
舞台上の姿とは打って変わって、地味な背中で作業に集中しています。
本番では、ベテランのNANAさんがオペレータをしてくれますが、その前のセッティングはシズカさんが行い、指示を出します。
前回公演で、演出シノダのお好み通りの照明を作りましたが、今回変更した箇所もあるため、色々調整して、この日までに準備してきました。

そして、毎度おなじみ、代表と野上のサス(ライトの名称)コンビも作業中です。
今回は、物干し台チームと照明チームが同時進行で作業しています。

かつて代表と野上の共同作業は、行き違いで混迷の極みでした。回を重ねるごとに息が合ってきていたものの、代表マジック(=こっちだと指示をしたのに、こっちじゃないと言い出し、あっちかな、と言うので従ったのに、あっちじゃなかったわ、と、翻され、ヤダーごめんなさいね〜、と振り回される)に、やられる事の多かった野上ですが、今回は久しぶりにもかかわらず、不思議なほどスムーズでした。
いつもなら、おとぼけな代表との不毛なやり取りに疲弊し、ストレス軽減チョコレートを欲する野上が、今回はチョコ無しでやり切りました。
「いつものチョコは?持ってきましたか?」
と、野上にストレスを掛ける気満々で、確認する代表。
「ストレス軽減チョコは、お昼にコンビニで買うから大丈夫」と言っていた野上ですが、実際はコンビニで買い忘れました。
買うのを忘れるほど、代表にストレスを感じる事なく済んだそうです。
「僕、大人になった。ほめてほめて」
と言う野上。
大人になったのか、抗体が作られたのかわかりませんが、ライトのセッティングは首尾よく完了しました。

この日の仕込みは、順調に進み、予定のスケジュールをこなす事が出来ました。
セットも完成し、飾り棚に小物を配置している役者達です。
この時のために、4年間保管していた小物もあり、新しく追加した小物もありました。


11月17日 公演前日の仕込み

朝9:25の風景。
本日の作業を確認中です。
14日の夜、立ち位置などを決める場当たりの途中まで進められましたので、この日はその続きと、照明・音響のタイミング、セット関係の最終調整を行いました。
暗いところで移動の頼りにする蓄光テープ貼りや、舞台袖でコードに足を引っ掛けない対策など、上演のための細かい準備をしました。
お客様をお迎えするための受付や会場の準備も分担して行いました。
今回、パンフレットを二つ折にしてくれたのは、舞台監督とTO-YAさんの二人でした。
こだわりのある、几帳面な二人がそれはそれは丁寧に折りましたので、かなりの精密さのはずです。

夕方からゲネプロ開始で翌日からの本番に備えます。
こちらはゲネプロ前にダンス練習。作業着スタイルのまま踊っている風景です。


公演ウラ話

11月18日 初日

4年ぶりの公演、二日とも好天に恵まれました。
嬉しさ倍増の美しい青空です。

車の停め方も、4年ぶりの配置です。
野上の車が端っこで埋もれています。皆の車に囲まれて、もう出られません。


朝の集合風景です。
初日は、朝一でゲネをし、昼公演、夜公演ですので、大忙しの一日です。

何もかも4年ぶりですが、この怒濤の初日スケジュールに耐えられるか、猿面達の体力は維持されているのか、試される時がやってきます。


13:30開演

「星影さやかにさやか」 開演

待ち焦がれたこの時
猿面の思い、さやかに輝きますように


ゆかりとえいこ

2019年の前回公演では、ゆかり役をシズカさん、えいこ役を代表が演じました。
今回は、二人の配役を入れ替えての上演でした。
前回公演の様子は、こちら(20回 劇場風景)から少しご覧になれます。

配役変更の理由は、いくつかありました。
その一つは、あまりにも長期間、同じ役で稽古をしていましたから、それが果たして良い結果につながるのか、そうではなくなるのか、という危惧でした。
感染状況によって、いつ公演が出来るのか、見えていない時期だったので、時間的余裕は充分ありました。新鮮に演じるためにも、一度配役を取り替えて稽古してみようと試してみました。

元々は、シノダが当て書きで書いた脚本でしたが、役を逆にしてみても案外良い感触だったので、それならこのまま上演しよう、となりました。
シノダは、一度書き上げた作品は、やむを得ない事態以外では手を加えないのですが、代表とシズカさんではタイプが違うので、ゆかりのセリフの語尾や、話し方を書き直しました。
それに加えて、前回には無かった新たなシーンも加えました。シーンを追加するのは珍しい事でした。
長い期間、向き合ったからこそ、磨きを掛けられた今回の「星影さやかにさやか」。
前回公演をご覧いただいたお客様からも、今回の脚本、配役が良かったというご感想をいただく事が出来ました。

役が変更されたことで、かつての役にも理解が深まり、現在の役に倍の愛情がこもったであろう二人です。


道具の話

前回も使用した棚の上の道具たち。
赤い帽子は、野上工房作です。
えいこ用に、つばの広い、赤くて派手な帽子を使いたい、というシノダ。ネットで探しましたが、ここまでつば広で手ごろな帽子がありませんでした。
仕方ない、作るか、となり、野上工房が引き受けました。
土台にするための安価で小ぶりな赤い帽子を購入し、フェルトで加工したつばを縫い付け、飾りも付けました。
つばの型紙を作る際には、円周率を使って計算したそうです。
「円周率が実生活に役立ったのは初めてだ。こういう時に使うんだ!」
と、当時の野上はちょっと感動したそうです。

帽子の隣にある、芝居中に何度か意味のある使われ方をしていた、じろうの父であり、ゆかりの亡き夫である緒方さんの写真。
一部のお客様から、「あの写真は誰?見えそうで見えないから気になっちゃった」というお声がありました。
この写真も野上工房作で、写真の人物は野上本人です。
野上の顔の写真を加工して作られました。
女顔の、野上の顔のままだと、ナイスなミドルのオジ様にならないので、アゴを立派にして、目を細めにしたそうです。
前回公演の写真も野上を加工していましたが、白髪が多めで、今回とは違う印象の緒方さんでした。
今回のニュー緒方さん、ゆかり役の代表からは、「ステキハート」と好評でした。
4年の間に、野上の写真加工の腕も上がりました。

開演前から干してあった洗濯物のなかに、猿のタオルがぶら下がっていました。
これも野上が市販のタオルに猿マークを染めて作りました。

実は昨年の猿面ショーの時も、弾き語り直前で使っていた手ぬぐいタオルです。
猿のついたマスクを作った時に、調子に乗って、あれこれ染めたらしいです。

公演が出来なかった期間、染めたり、縫ったりして私物に猿が増えたみたいです。
猿面愛が止まらない野上です。


照明の話

今回、新たに組み込んだ星の照明です。
照明担当のNANAさんが、狙い通りに調光してくれました。
代表と野上が劇場の下見に行った際(2023年9月3日稽古風景)、星空を表す美しい効果はないだろうか、と、南部青少年センターで毎回お世話になっているKさんに相談したこちらの照明。
猿面は、昔からいつもKさんに照明、音響の件で助けていただいています。今回、また劇場でKさんにお会いできて嬉しい一同でした。

仕込みの際、Kさんのアドバイス通りに、野上が光を線状に調整し、代表がゼラをセットしてこの灯りが出来ました。
ゼラの折り方のおかげで、この薄いブルー→クリーム色のグラデーションが発生し、思いがけない美しさになりました。
「動かしたらもう再現できないから、絶対に触っちゃダメ!」と、厳重注意が発令しました。

Kさん、おかげさまでキレイな照明になりました!
ありがとうございます!次回公演も、よろしくお願いします!


初日の受付風景です。
毎度おなじみの久里子さんとTAKAちゃん、そして丸ちゃんも受付を手伝ってくれました。
昼公演では、MAIちゃんも受付嬢をしてくれました。
みんな、公演のために都合をつけて集まってくれて、本当にありがたいスタッフさんです。

今回の公演から、新規のお客様の受付方法を変更しましたが、混乱もなかったとの事でした。
紹介のない新規のお客様は事前予約が必要となりましたが、こちらもご協力いただき、滞りなかったそうです。
今後も、皆様に安心してご来場いただけるように努めてまいります。


前回に引き続き、音響さんとして活躍したショーコと、任せて安心の照明さん、NANAさんです。

今回、抜群のタイミングで音を出したショーコ。完璧な仕事を成し遂げ、シノダも絶賛でした。
稽古中のショーコは、ラジカセ使用のせいもあって、ラストの良いシーンで手元が狂って、よりによってな浮かれた楽しい曲を出してしまい、役者さんがずっコケる(死語)事もありましたが、本番は違いました。
きっちり合わせて来た、猿面の重鎮ショーコです。
空調の音が大きく、きっかけにしている舞台上の役者の声が聞こえにくい場面もありましたが、自身の役者としての感覚で音を出しました。

公演が出来ない期間も、稽古に参加し、苦手なダンスも皆と一緒に練習してきたショーコ。 カーテンコールでは、一緒に歌えと言われ、歌わされちゃったショーコ。

ショーコは、このたびスタッフ参加だったので、常に客観的な視線を持ち続けていました。
衣装の着方がよろしくないとショーコチェックが入ります。
本番中は、音響操作の合間で役者さんの手助けをしてくれる、頼れる裏方さんでした。

NANAさんは、お仕事の都合をつけて金曜日の夕方から公演に参加。
短い時間で、シズカさんからの指示を吸収し、4年ぶりとは思えない仕上がりでした。
幼い頃(?)から仕込んできて、ここまで成長してくれた貴重な戦力です。


初日昼公演を無事に終え、夜公演開場直前の集合風景です。
今回シズカさんは、客席からの登場でしたので、黒い帽子をかぶり、派手な衣装を隠すために私服の上着を着て変装しています。
開場後、シズカさんは、舞台袖の裏階段を上り、上の階から一度ホールの外へ出て、ホール入口と離れた階段から1階に下り、お客様に気付かれないようにコソコソとホールの前室(ホールに入る1枚目の扉と2枚目の扉の間の空間)に潜り込み、待機していました。


今回の”出し物”の話

お客様の大きな手拍子で、大変盛り上げていただきましたこのダンス。
前回公演では、まだ喫煙者だった野上。当時、フルコーラスを踊りながら歌うのは、重労働だったそうです。 空手をやっている野上にとって踊る動きは辛くなくても、歌うのがキツかったそうです。(空手は歌いながらやりませんから)
めでたくタバコをやめて3年7ヶ月、今回は楽になったはず!でした。稽古中、確かに以前より楽になり、余裕が出ていました。
ところが、通し稽古のビデオでダンスをチェックした際、野上には余裕で踊っているのが、「ゆるく踊っている」と見えたらしいです。
ストイックのスイッチが入ってしまいました。
「もっとキレなきゃいかん」
と、昭和頑固オヤジみたいになってしまい、レベルの向上を目指し、追い込み始めました。
結果、やっぱりキツいじゃん!と、なったそうです。
それでも、ダンスシーンは盛り上がり、アンケートでもご好評を多数いただき、お客様にお喜びいただいたようなので、キツかったけど頑張って良かったと思っているとの事です。
代表、シズカさんも練習を重ねて来たこのダンス。二人とも4年前より上達した。と、振付担当の野上が認めています。

お客さまとの一体感を感じられるダンスシーンは、すっかり猿面の芝居で定番になっています。
これからも、猿面達の体力が続く限り、楽しいダンスシーンをお届けしたいです!

そして、もう一つ、意外な出し物をお届けしました。
やってしまいました。ついに、まさかのド演歌です。
チョンマゲに着流しです。
「どんな劇団ですか」の、この姿。
果たして、この古風な演歌をフルコーラス、しかも途中セリフ入りでお届けして、ドン引きされないだろうか。と、若干の弱腰もありましたが、それでも物語に絡めて、この曲をお届けしたかったのでやっちゃいました。
前回公演で初演の時は、かなり勇気がいったそうです。
勇気を出して、開き直って、自意識に負けず、やり切った野上。
初演も今回も、ありがたい事に思いがけず好評でした。日本の心、演歌、だからでしょうか。
コブシの回せない野上は、セリフにもあったとおり「冗談抜きで、すげえ練習しました」
こちらの出し物も、「泣いちゃった」というご感想をいただき、すげえ練習した甲斐がありました。

母のように、野上のド演歌を見守る代表とシズカさん。

着物への着替えは、舞台袖で野上が自分でしましたが、ショーコが紐や帯を手渡しして手助けしていました。
前回公演では、マジックテープを巻いて誤魔化した帯も、今回は本物の帯を”片ばさみ”という結び方で締めました。
帯結びも練習を重ねた野上です。

ちなみに、このシーンに関する代表とシズカさんのアドリブシーンで、「野上がカツラを自分で買ってコレクションしている」かのように言っていましたが、野上くんから苦情です。

野上くんより
「芝居のため、必要に迫られて買っているだけなのでコレクションではありません。
団費で買ってもらえないから自腹で買っているのに、趣味みたいに言われるのは困ります。」
との事です。
私生活で絶対に使えない渡世人チョンマゲのカツラを団費で買ってあげないブラック劇団、猿面です。

アドリブが得意とは言えない代表とシズカさん。
「そんな身勝手なアドリブじゃだめだ、何を言っているのかわからない、誰でもわかるような適切な説明を交えないとダメ、センスがない、面白くない、頭使って下さい、何度言えばわかるんですか」等々、さんざんシノダにこき下ろされながら、アドリブ出来るようになるための稽古を重ねました。
着替え時間の、場つなぎのための、このアドリブシーンでしたが、お客様に温かく見守っていただき、おかげさまで楽しいシーンが成立しました。


夜公演も無事に終了。

退出時間まで残り時間がわずかなので、最低限の片付けをして、劇場の外へ。
駐車場で話す時間も殆どないまま、解散となりました。

体力勝負の初日でしたが、無事に終える事が出来ました。
4年経っても衰えていなかった猿面達でした。


11月19日 楽日

楽日も朝から晴天でした。
芝居漬けの幸せな時間は、瞬く間に過ぎて行きます。


まずは、朝の挨拶。
毎回受付を手伝ってくれている、スタッフ劇団員のマツも参加してくれました。
楽日の朝は余裕があるので、昨日の片付けと、本番のための準備をしたら、動画版劇場風景の撮影をするのが恒例です。
今回も、猿面達の常日頃の様子が見られる動画を公開しますので、どうぞお楽しみに。


お昼ごはんの買い出しへ

買い出しは最寄りのコンビニと決まっています。

コンビニへ向かって歩いている最中に、いつものお店が存続しているか、一瞬心配になりましたが、ちゃんと営業中でした。
しかも駐車場が広くなり、建物は新築されていました。

コンビニまでの道のりも、一見変わりないようでしたが、閉業したお店もありました。
4年の年月を感じた一同でした。

今回主演の代表と、お相手役の野上、何の話をしているのでしょう。
ふだんは姉弟喧嘩みたいになっていますが、芝居となるとお互いに良い化学反応が起こせる二人。
二人の演じたラストシーンでは、お客様の涙を誘いました。
ラストシーンは、敢えて段取りなどを決めず、その時その時で演技をたたかわせました。
シノダからも「本番でも動きを決めないで、気持ちのままで行って下さい」と言われていました。
男女の濡れ場を演じても、何故か爽やかになってしまう(第19回公演「詠.愛.」での共演)、女帝(代表)と将軍(野上)ならではの掛け算。
今後の共演で、さらに面白くなるのをシノダは期待しています。


開場時間直前の集合風景

最終公演、まもなく開場です。
過去の公演でやった事のない「円陣」(ファイト!おーっ!みたいなの)を、なぜか今回やってみた猿面達。
やった事ないので、どうやるのが正しいのかわからず、アレアレどうすればいいの?みたいになってしまいました。 手を重ねるの?重ねてどうするの?どのタイミングでおーっ!なの?てな感じで、ショボめな円陣でした。
次回公演でも、円陣にチェレンジするのか、上手く出来るのか、来年の公演にならないとわかりません。


楽日の受付風景

今回は、受付会場係に男性陣が活躍してくれました。
ベテラン受付嬢のお姉さま達と共に、お揃いジャージでお客様をお出迎えです。


13:30開演

「星影さやかにさやか」 最終公演
どうか いつまでも 星影さやかにさやか


ゆかりさん

おっとり奥さんのゆかりを演じた代表。
劇中で、じろうが求める、輝く笑顔を何度も見せていました。

過去の作品で、シノダからダメ出しを浴びまくって来た代表ですが、今回の作品では、一定の前進があったと、シノダから評価されました。
元々、華もあり、魅力あふれる役者と認められてきた半面、それを邪魔する要素があり、代表自身も克服せんと奮闘中です。

代表の底力を知っているシノダからすれば、そうした要素は歯痒さの極みでした。
もしかすると、他の演出家なら見逃すレベルの事かもしれませんが、シノダは許しません。
良くなって欲しいからこそ、彼女の実力を出し切らせるために、代表を鍛え続けています。

「役者は、舞台の上で中身が出るから気を付けろ」

いつもシノダが言っている事です。

「どんなにそれらしく化けの皮を被っていても、その人の内面が芝居に出てしまうのだから、芝居を観れば、その人となり、本当の姿はわかってしまう。 お客様に見抜かれてしまう。それを忘れてはならない。」と、彼は言います。

ふだんの姿に誠実さが溢れる代表は、シノダが愛する役者であるのは間違いありません。
シノダは、猿面の太陽である彼女を、役者としてもより燦燦と輝かせようとしています。

代表自身も、シノダに言われる事を謙虚にありがたく受け止めていますから、前進しないわけがありません。この女優、まだまだ伸びます。


えいこ

前回の、おとなしいゆかりさんとは打って変わって、元気なツンデレえいこを演じたシズカさん。
ヘアースタイルもウエーブをかけて、斬新でした。前回、ゆかり役を演じた同一人物とは思えない変身ぶりです。
えいこ役が良く合っていたという、ご感想も多くいただきました。

前回、代表が演じたえいこの印象があった事もあり、方向性に迷った時期もあったようです。シズカさんらしい、えいこを探す日々でした。

今回、客席からの登場だったシズカさんは、開演までの十数分を一人寂しく過ごしていました。

シズカさんが舞台袖から移動を開始するタイミングは、客入れの音楽の何曲目、と決めていました。

客入れ、客出しと呼んでいる、開演前と終演後の音楽は、毎回シズカさんが選曲しています。

今回の客入れは、星にちなんだ懐かしい音楽が選ばれ、お客様からも好評でした。


じろう

前回もじろうを演じた野上。

彼は4年間ずっと、じろうでした。

「親切なのか、意地悪なのかわかりにくい」

という劇中のえいこのセリフ通り、いいヤツだけど、一筋縄でいかない性格を持ち合わせていたじろう。鋭い勘の持ち主でもある反面、食べ物の好き嫌いばかり言う子ども染みたところもありました。

「じろうは、シノダが野上の個性を拾って生みました。」

と、第20回の劇場風景で説明しました。

当時、野上は、「自分はじろうの人間性には到底及ばない」と言っていました。
この4年の間、折に触れ、じろうと自身を重ね、向き合って来た野上。

相手を思うからこその厳しさと、押し付けではない真の優しさを併せ持っていたじろうは、野上にとって別れ難い役になりました。

裏話・野上

代表とシズカさんの役が交替になりましたが、動じなかった野上。

本番でも、女優さん二人との芝居中、アクシデントの数々に見舞われましたが、冷静に受けて立っていました。
芝居中の反射神経と懐の深さは、野上のこれまでの舞台経験によるものでしょう。

昨年の猿面ショーでは、公演前にフクラハギを肉離れしてしまい、調整に苦労した野上。

今年も肉離れしたら、トラウマになって、今後、ダンスが怖くなってしまうから、ぜったいに今年は肉離れしない!と、誓って、予防に努めつつ鍛えてきました。

努力が実って、今年は無傷で踊り切りました。これで安心して、来年からも張り切って踊ってくれるはず!です。


公演終了!!

おかげさまで、無事に公演終了です。本当に、ありがとうございました
今回特別に、最後の最後にもう一曲、お届けしました。

「しつこいかな」と、シノダは迷ったそうですが、ようやく公演が出来たのに、アッサリお別れするのは寂しいから、と、心弾む歌を選び、皆で歌いました。こちらも、意外に好評だったそうなので、やって良かった最後の一曲でした。
猿面が令和の歌を歌うのは、これが初めてではないでしょうか。
いつも、昭和、がんばって平成の歌ばかりですから。
最後の曲も沢山の手拍子に包まれて、猿面達にとって、この上なく嬉しい時間でした。
エネルギーをたっぷりいただき、次回公演への力になりました!ありがとうございました!!


バラシ直前の記念撮影

前回は、未成年だったお手伝いの若者たちも晴れて成人しましたので、お顔ご披露です。
バラシには、いつもお手伝いしてくださるMASAHIKOさんも、登場してくださいました。もちろん、観劇もしてくださったMASAHIKOさん。大物の、物干し台の解体を喜んで手伝っていただき、助かりました!ありがとうございます!
センターのKさんも、妖精のように密やかにバラシを助けてくださいました。ありがとうございます!
公演にあたり、応援、ご協力くださいました皆様、ありがとうございます!今回は特に、ありがたさでいっぱいの猿面達でした。

2023.11.19 16:13


公演後記

【出演者】

ゆかり★田中綾子(劇団代表)

田中綾子

4年ぶりの公演。
たくさんの方々に足を運んでいただきました。
本当にありがとうございます。

毎年この時期になると公演をしていました。
公演できない時が来るとは考えもせず、恵まれた環境で当たり前のように…。
それが台風やコロナの影響でできなくなり、できるありがたさを改めて感じた公演でした。

4年前のこと、コロナ禍で公演できなかったこと、今回無事に公演できたこと。
お客様はもちろん、公演のために集まってくれた仲間に、スタッフの仕事を快く引き受けてくれた方々、片づけを手伝ってくれた皆さん、 4年間一緒に稽古に励んでくれた仲間たち、そしてこの作品を作り、もう一度公演する事を4年前のあのときに即決定してくれたしのだ氏に感謝します。
ありがとうございます。

「待ってました」
今回の公演のお知らせをした際に、お客様から頂いた言葉です。
自分がやりたくてやっていたことを、そんな風に言っていただき、嬉しくて胸が熱くなりました。
私自身、反省や今後の課題がいろいろあります。
でも、ほんの少しですが自分で気付けた成長もありました。

改めて芝居が好き。猿面が好き。
ここで、この仲間で芝居を続けたいと、しみじみ感じています。
皆様に観たいと思っていただける劇団を目指して、今後も活動を続けていきます。
これからも劇団猿面をよろしくお願いします。

2023.12.11


えいこ★芝﨑シズカ

芝﨑シズカ

前回公演終了直後に、もう一度「星影さやかにさやか」を上演することが決まりました。
あの時からずいぶん時間がかかってしまいましたが、今年、無事に上演することができました。
今回、私はえいこを演じさせてもらいました。同じ芝居の中で役の交代という初めての経験をしました。
最初は戸惑いもありましたが、それよりも新しい芝居に取り組むような面白さがありました。
視点が変わると見える世界が変わる、私にとって貴重な経験になりました。

もちろん面白がってばかりではいられません。自分なりのえいこに、迷い、探し、間違った方に進んでは戻り、遠回りを繰り返しました。
まだまだ足りないことばかり、反省点も残りました。
それらのことは、この先も向き合っていかなければいけないことであり、これからの私を導き、引っ張っていくものでもあると思っています。
公演ができなかった4年間、不安に揺らぐこともありました。でも私の隣には、決して揺らぐことなく公演に向けて黙々と稽古する猿面の仲間がいました。 その仲間に支えられて私はここにいます。その揺らがない仲間を心から誇らしく思います。

そして久しぶりの公演にもかかわらずご来場いただいたお客様には、心からの感謝を込めて御礼申し上げます。有難うございました!
また来年!と言える喜びをかみしめて。

2023.12.5


じろう★野上竜司

野上竜司

ようやく、やっと、いよいよ、ついに「星影さやかにさやか」が再演できました。
台風が来た、あの時を思い出します。
マスク、アルコール、緊急事態宣言、の日々を思い出します。
去年の猿面ショーを思い出します。
また劇場で観ていただく事ができて、ありがた過ぎて、嬉し過ぎて、うまく言えません。
なにしろ、ありがたくて、うれしくて、しあわせでした。
ありがとうございます!
また来年、劇場でお待ちしています。

2023.12.8


【スタッフ】

音響★山田しょうこ

山田しょうこ

きれいさっぱり終わった。
公演後記に何を書こうか思い浮かばないほど、きっぱり終わった。
もちろん 反省はある。音を出すタイミングはあれでよかったのか?フェードアウトはあの速度でよかったのか?全部の音に考える。
あれが最善だとは思わない。もっと もっといいものができたはず。
でも、終わった。なんでかな。きっと 猿面は何があっても猿面だからかな。
ご来場頂いた皆様、お手伝いして下さった皆様、ありがとうございました

2023.12.9


照明★Nana

Nana

この4年、様々なことがあった激動の4年でした。
それでも変わらず同じ劇場で、同じメンバーで、4年前よりさらに進化した舞台をお見せできたこと、心より嬉しく思います。
また来年も、皆様にお会い出来るのを楽しみにしています。ありがとうございました。

2023.12.8


受付★丸 穣大

丸 穣大

ひさしぶりの公演でしたが、猿面ファンの暖かいお客様をお迎えできて良かったです。ありがとうございました。
今回も公演の仕込み、公演当日のサポートのみの参加でしたが、劇団員の真剣な表情や笑顔を見れて楽しい時間をすごせました。
次はどんなかたちで参加できるのかなぁ(笑)。

2023.12.11


受付★桜 久里子

桜 久里子

お久しぶりです久里子です。
今回私は、ゲネ・初日夜・二日目昼と三回観させていただきました。
物語は同じでも、生身の人が演じている舞台は全てが同じではありません。
役者の目線、手足の微かな動き、観る度に発見があり感動があります。それは小さな劇場だからより感じるのかもしれません。
久しぶりの猿面の舞台がとても新鮮でした。ありがとうございました。

2023.12.8


脚本・演出 しのだ 冬吾

第21回公演「星影さやかにさやか」にご来場いただきました皆さま、公演にご協力いただきました皆さま、心より御礼申し上げます。まことにありがとうございました。
ホームページや公演パンフレットでも何度かお伝えしました通り、この作品は、2019年初演の際、台風の影響により土曜日の公演が中止になり、日曜日一度だけの上演になりました。
つくり上げるために注いだ思い、労力を思えば、そのまま終わらせる事は出来なかったため、1年後の再演を予定しておりましたが、新型ウイルスのまん延という未曾有の事態に見舞われ、4年もの間、公演が出来ませんでした。

台風に邪魔をされ、立て続けにウイルスに阻まれるなど、そうそうある事ではありません。
特にウイルスに関しては、世界中が混乱し、当たり前だった日常を捻じ曲げられる状況が続き、こんな事が起こるのか、と、思わされる変災でした。
猿面らしい芝居、猿面ならではの物語を目指して脚本を書いた「星影さやかにさやか」です。
そんな作品が、よりによって、これほど苦難に見舞われるとは、何の因縁なのかと思いました。
公演の見通しも立たず、それどころか猿面の活動そのものについても先の不安を感じていた時期もありました。
その当時は、これほど運の悪い作品があるか、と、恨めしく思いもしました。

今年、こうして無事に公演出来た事は、筆舌に耐え難い喜びです。
何度お礼を申し上げても、足りない思いです。
公演にご来場いただきました皆さま、お力添えいただきました皆さま、関わってくださった皆さま、応援してくださっている皆さま、猿面を忘れずにお待ちいただいていた皆々様、本当にありがとうございます。
おかげさまで長い長い長いトンネルをようやく抜け出す事が出来ました。
客席の皆さまと、また一緒に芝居の時間を過ごす事は、団員一同の願いでした。
僕は、猿面の芝居は、猿面のお客様のお力によって何倍にも良い芝居にしていただいている、と、骨身に染みる思いで今回の舞台を見守りました。
これほど温かなお客様が、あんなにも集中して観てくださっている客席と舞台の空間を、僕は他の劇団の芝居で見た事がありません。
僕の胸には、猿面を楽しみにしてくだる皆さまのために、もっともっと良いものをお届けしたいという、欲が膨れ上がりました。

「星影さやかにさやか」は、第20回公演で幕を開け、第21回公演で幕を下ろします。
と、第20回公演の公演後記でお伝えしました。
4年の月日をかけて、猿面にとって意義のある、重たい幕を下ろしました。
配役を交替する事も脚本に手を加える事も、4年前には考えていませんでした。
これほど長い期間、同じ芝居を稽古するのも初めての経験でした。
劇団員達の私生活にも色々な事が起こり、それぞれがその体験によって、何かを得たり、変わったりしたのだと思います。
そうした中で、僕らが目指してきたのは、この「星影さやかにさやか」という作品を、以前よりさらに輝かせようとする事であり、何があっても、猿面の、僕らが目指す芝居を続ける、という事でした。
前回公演をご覧くださった方々から、「前回よりも良かった」というお声をいただく事が出来、時間を掛けて磨いた甲斐があったと安堵しました。
例によって、安堵しても満足はしていない点もありますので、僕の仕事はまだまだ終わりません。
それでも、一時は恨めしく思ったこの作品の不運は、不運ではなかったのだと、今は思っています。
何もかも必要な事だった、と、お客様はじめ、僕について来てくれ、いつか必ず公演出来ると信じさせてくれた劇団員たちのおかげで、思えるようになりました。
あの日々が無かったら、今回の「星影さやかにさやかに」は、これほどまでに輝く事は出来ませんでした。

これほどの苦難を乗り越える事が出来たのですから、猿面の底力は自慢していいと思っています。
どうぞ、これからも猿面の劇の世界にお越しください。そして、ご一緒にこの世界を生きていただきたいと願っております。

しのだ サイン
2023.12.7


舞台写真


最後までご覧頂きましてありがとうございました!

来年も劇場お待ちしております!また猿面に会いに来てください!!
劇団猿面一同


劇団猿面「星影さやかにさやか」劇場風景—番外編
劇場風景の動画版です。公演準備中の猿面たちの様子や、舞台裏・舞台映像がご覧いただけます。

画像をクリックするとYouTubeのページでご覧いただけます。


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