劇団猿面劇団猿面第19回公演 劇場風景

STAGE19

「詠.愛.」
2018年11月24日/25日

↓ END


猿とシャボン

いらっしゃいませ。

このページでは、2018年11月公演の小屋入りから公演当日の様子をお届けします。
メンバー達の公演後記や舞台写真もあります。
どうぞごゆっくりご覧下さい。

仕込み風景 公演ウラ話 公演後記 舞台写真


仕込み風景

11月20日 小屋入り

仕込み開始の朝、良いお天気でした。
荷物の搬入があるので、晴れてくれて助かりました。

仕込み初日は、参加可能なメンバーで道具作りをしました。

いつもどおり、掃き掃除と雑巾がけをしてから作業に取り掛かる猿面達。

今年の初めに脚本を渡され、それを舞台上に実現させるため、「あれはどうする?これはどうする?」と、演出と役者達で検討を重ねてきました。
思い描いた舞台を形にする時がやってきました。


この日は猿面の舞台監督が来てくれたので、作業はすこぶる順調に進みました。
舞台監督は、事前に代表と道具作りの打ち合わせをしていたそうですが、代表の説明では今ひとつ伝わらない事が多かったそうで(←よくある事)、「そんなもん、作れないだろ」と思っていたらしいです。
しかし、この日は演出シノダから直接説明があり、何をどう作りたいかがはっきりしたので、次々道具を作り、皆への指示もしてくれた舞台監督。
難しい道具でもウチの舞台監督がいてくれれば実現できる!とシノダは確信しているので、難しいと思われる仕掛けも使いたくなるらしいです。

そして、昨年、お手伝いに来てくれた若者・T君が今年も懲りずにお手伝いに来てくれ、舞台監督の子分として働いてくれました。
痒い所に手が届く高性能なT君。
男子が少ない猿面にはありがたい助っ人さんです。

作業がはかどったので、この日一日で主要なセットは完成しました。息の合ったメンバー達によって、予定よりもかなり早いペースで仕込みが進められました。


11月21日 照明・音響 仕込み

翌日は、照明と音響の準備でした。
朝から灯体を吊って、コンセント繋いで、あたりを決めて・・の作業を分担して行いました。

シノダの指示で各シーンの照明の色合いや強さを決め、照明リーダー・シズカさんが組んでいきます。

その後、実際に操作をするのはすっかりベテランになったNanaさんです。
今年も手腕を発揮してくれました。
Nanaさんが照明をやりはじめた頃は、「Nanaちゃんが大変にならないように考えよう」としていたシノダですが、今はそんな事は全く考えていません。
Nanaさんの腕がすっかり上がったので、難しい照明変化をどんどん要求してきます。
指がもう一本欲しいという状況でも、文句を言わずに操作してくれているNanaさん。本番中も、絶妙なタイミングで舞台上の光を操ってくれました。


照明を組んでいる間、手の空いたメンバーはその他の作業を続けます。
ショーコと受付リーダー・マツで看板の準備中。

今回もMASAHIKOさんが看板のために作ってくださったシートを土台に取り付けています。
この看板と公演ポスターは猿面にとって貴重な宣伝になります。これらをきっかけに、初めてご来場いただいたお客様も多数いらっしゃいました。大変ありがたいです!

毎年、猿面の応援のためにこれらを作ってくださるMASAHIKOさんは、猿面の芝居を楽しみにしてくださっているお客様でもあります。
MASAHIKOさんや、応援・協力してくださる皆様への猿面ができるご恩返しは、楽しんで貰える芝居をお届けする事しかありません。
MASAHIKOさんからも今回の芝居にご好評をいただき、「良かった!」と安心した猿面達です。

助けてくださる方々のおかげで、猿面は公演を続けられます。一同感謝しております。これからも応援してもらえる劇団でいられるよう、がんばります!


今回の仕込みで最も大掛かりだったのが、ラストシーンで登場したこちら。
材料が何かわからなかったと言う方が多かったようですが、実はトイレットペーパーです。
吊り物に吊るしましたが、ラストまでは見えないようにしておかなければならなかったため、天井の高さいっぱいの位置まで上げて隠していました。
最後の出番を終えた、代表・ショーコ・久里子さんが舞台上で芝居が続いている中、中割り幕の裏でそ〜っと下ろしてセッティングしました。
本番中に吊り物を上下させるのは、人手不足の猿面では失敗する危険が伴うので、極力避けたいシノダですが、これは「どうしてもラストで必要」との事でした。彼なりの演出意図があり、脚本にもすでに「トイレットペーパーの滝が見える。」とト書きされていました。
デリケートな素材の仕掛けでしたが、皆の努力の結晶で3公演とも美しい姿でお見せできました。

その仕込みの様子です。
同じくらいの長さに調整しています。

ミシン目もあるし、引っ張ればすぐに切れてしまうので、かなり慎重に扱いました。
布だと思った方もいらっしゃいましたが、布に比べればかなりの経費削減。
ケチなわけではなく、お金を掛けずに知恵を絞って美しい舞台を作るのが猿面のモットーです。
この「トイレットペーパーの滝」は、それを表わすのに相応しい物でした。

皆で力を合わせ、思い通りに実現出来たことに喜ぶ一同でした。


そしてこちら、野上工房の今回の力作。
野上の車に載るか心配された大きなリースです。材料は、トイレットペーパーの芯です。またトイレットペーパーです。これも、シノダのひっそりとした演出意図です。(声高に言うつもりは無いけど、拘りたい所らしいです)
シノダの依頼で野上が作りました。
作ってみないと芯が何本必要なのかわからなかったため、「取りあえず集められるだけ集めよう」となり、数ヶ月前から団員達それぞれが芯を捨てずに集めました。
野上は自宅でこれを地道に製作。紙なのでボンドで接着してありますが、公演中にモチーフが外れる万が一に備え、さらにテグスで一つ一つ固定したそうです。

壁飾りなど、トイレットペーパー芯を使ったアート作品はすでにありますので、野上はそれらを参考にしたり、独自にモチーフを編み出したりして作ったそうです。
硬派・野上が作ったとは思えないエレガントな仕上がりは、女優さん達から大好評でした。
華奢なモチーフは、小屋入り後に取り付けました。

照明の光や影によって様々な表情を見せていた花のリース。今回の芝居に合った効果が出せました。

そしてこちらも、野上工房・作。
またまたトイレットペーパーの芯です。

トレットペーパーの芯は、商品によって結構違うものらしいです。紙の厚みや硬さに違いがあります。こちらのモチーフは硬さのある芯で作られ、先ほどのリースでは内側は硬いタイプ、周囲に取り付けた細かい細工のものは柔らかいタイプの芯で作られています。

柄に似合わず繊細な物を作るのが得意な野上の苦心の作。日常では捨てられてしまうだけのトイレットペーパーの芯が舞台上で美しく輝きました。


仕込み最終日(23日・木曜日)
毎年恒例の風景ですが、お昼ご飯を買いに行く所です。
皆、昨年作ったお揃いのジャージ姿です♪
次にお揃い作るなら、何にする〜?
Tシャツにするか、パーカーにするか、ジャージのズボンにするか、・・・希望を出し合うメンバー達。
Tシャツやパーカーを今着ているジャージの下に着たら、脱いでも脱いでも猿面になっちゃいますね♪


公演ウラ話

11月24日 初日

初日の朝です。やや雲はありますが、良いお天気でした。
やはり初日は、「晴れ」が何よりです。

猿面は毎年、土・日公演で、前日の金曜日に仕込みの仕上げとゲネ(リハーサル)を行っていますが、今年は金曜日が祝日だったため、劇場が休館でした。
そこで、今年は例年なら金曜日に行っている事を木曜までに終わらせました。
そうなると、金曜日はお休み〜、となってしまい、土曜日にいきなりゲネ・本番で大丈夫か?と言う心配がありました。
これまでは、小屋入り〜仕込み〜ゲネと怒涛の数日を経て、続けざま本番へ突入というのがパターンです。
途中で一日休みが入る経験がないので、とりあえず金曜の夜だけでも稽古しよう、と予定していました。衣装も小道具も劇場にセットしてありますから、身ひとつで集まって稽古しました。
このときの稽古は、本番前夜のせいか不思議な盛り上がりがあったそうで、何度も大爆笑が出たとの事です。


13:30開演

「詠.愛.」 開演

人間と無垢 狭間にたゆたう純真の物語が始まります


沢渡さんの話

ラストでまさかの正体が明かされた『沢渡』役のシズカさん。
役柄もですが、そのほかにも隠されていた役目がありました。

役者として舞台に登場するほか、出番のない時には音響操作もしていたのです!出ました、猿面の人手不足による非道な人員配置。
今回の公演は、音響係(いつもは丸ちゃんでしたが、このところ仕事が忙しく参加できていません。早く帰ってきて〜)がいない事がわかっていましたので、役者の誰かが音響も兼務しなければならない状況でした。
猿面の脚本家はそこも見越して脚本を書きます。

沢渡の登場シーンと音楽が入るシーンは、調整して書かれていました。
終盤三姉妹のシーンから沢渡とスリーのラストシーンまで、役者が全員舞台上にいるため、途中で音響操作ができません。
そこで、予め音楽を3曲繋げて作っておいて、一回ボタン押せば流しっぱなしで行けるでしょ・・・と考えたシノダ。曲を加工する際、セリフのある時とない時の音量も調節しました。
音響席は無人なので、沢渡とスリーのクライマックスではセリフを間違える事も噛む事も許されず、セリフの早さも決めたとおりにしないと音楽に間に合わない、絶対合わせろ。だけど、芝居はちゃんとやってね、という、もの凄いプレッシャーが掛けられました。もちろん、沢渡とスリーの演技中に裏方の仕事(前述のトイレットペーパーの滝)をしなければならない他の役者も失敗は許されない、皆が集中しなければならないシーンでした。

そんなわけで、役者と音響、プレッシャーが倍だったシズカさん。
過去の公演でも役者音響二役の経験はありますが、今回は芝居も音響も当時より複雑になっています。
もちろんシノダは、出来ない人にそんな無茶をさせません。前回公演で二人芝居をやり遂げ、過去の公演でも芝居全体をよく把握できているシズカさんだから、この役目が与えられました。
シズカさんがいなければ、今回の芝居で女優全員を出演させることは出来なかったとシノダは言っています。

シノダは沢渡という役は、シズカさん自身が作らなければならない役として彼女に預けました。シズカさんは、どう作るか、どう演じるか、考え続けた日々でした。
役者として立つ楽しさ、音響として世界を作る楽しさ、その両方を味わったシズカさん。大変な役目を与えられてもそれを心から楽しめるのは、やはり彼女が、独りよがりな『役者好き』ではなく、本物の『芝居好き』だからでしょう。

照明のリーダーでもあり、その他の裏方仕事にも積極的なシズカさん。
代表と二人で、今回使用した大きな『箱』作りに稽古期間中から取り掛かっていました。段ボールでサンプルを作り試行錯誤し、それを参考にプラダン(プラスチックダンボール)で本番用を作りました。この予めの準備が、仕込み当日の時間短縮につながりました。


自分たちが使う道具で作れるものは手作りする猿面。
使い勝手や、見栄えが納得できるまで追及します。
シズカさん以外の役者も、自分達がつくる芝居の世界への愛が深い人ほど仕事に工夫を重ね
労力を惜しみません。


お姉さん達の話

長女・幸代を演じた久里子さんと、次女・智代を演じたショーコ。
二人とも久々に役者として登場しました。
シノダ演出の経験は他の役者より少ないので、悩みながらの稽古だった二人です。

オーディション後に、シノダが二人に当て書きしてこのお姉さん達が誕生しました。
シノダは、猿面らしい役者、猿面でなければ出来ない芝居ができる役者として舞台に立ってくれることをこの二人に求め続けました。
そのために、いつもにも増してあの手この手を使ってダメ出ししてきました。

今回の稽古中、猿面としては珍事がありました。
常日頃、温厚なシノダがミスした役者に対して、「てめえ、この野郎ッ!!何してやがるんだ!」と怒鳴り声をあげました。と言っても、これはシノダのおふざけだったようで、灰皿は飛びませんでした。(そもそも稽古場に灰皿はありませんけど)そして怒鳴った直後に、「あ、すみません」と謝るシノダ。
シズカさんは、滅多に聞けないシノダのべらんめえ口調と即座の紳士的態度にドはまりして、大爆笑でした。
そんなこんなだったので稽古場が凍りつく事にはなりませんでした。
しかし、シノダは今回の公演パンフレットの挨拶に、”今回の稽古は手を焼いた”と書いたほどですから、この時の怒号の何割かは本気だったのかも?しれませんが。

楽しくも厳しい猿面の稽古です。
当劇団のヘンクツな演出家は、役者を”演技”だけで評価しません。
彼の役者へ向けた言葉の意味を芯(心)から理解できなければ先に進めない事を、シノダが大事にしている役者達はわかっているはずです。そして、シノダを大事にしている役者達は、彼の期待に応えられる役者になる事を目指しています。


絶対絶命の話

稽古風景で何度も出てきたダンスの話です。
このダンスの練習を重ねてきた代表とショーコ。稽古期間中の出来具合の最高得点は50点を超えた程度。
「もうホントに照明当てないようにするか」と、検討されました。ダンスの出来次第で照明を当ててもらえるかどうかの瀬戸際だった二人。
仕込み中も「野上に当たってればいいでしょ」と言うシビアなシズカさん。
最終的にはこんな照明になりました。
本番での二人のダンスは、観てくださった皆様に評価していただければ・・・と、二人の振付をした野上は言っております。あ、でも、「ヒドいもんだった」というご意見も今のところ入って来ていないので、赤点は免れたと言っていいのでしょうか。

そして、また女装させられた野上。
なんだかもう珍しくも無い野上の女装です。演出家の個人的趣味ではありません。(面白がっている可能性はありますが)
物語の流れで必要な女装でしたが、「百恵ちゃんだぞ。女装しないと失礼だろ。」と、百恵ちゃん好きのシノダのせいでこうなりました。
初めてご来場のお客様は、野上を女性と思われた方が多かったそうで、本人も終演後、何人もの方に直接訊かれたそうです。今回は長髪だったため、いつも以上に性別の誤解を招いたのかもしれません。
野上本人も女装が趣味ではありませんし、電車で男色の痴漢に触られたこともあるそうですから普通の男子です。(普通なのか?それ)


受付穣達

今回も公演のために都合をつけて集まってくれた猿面自慢の受付穣達。
彼女達が心を込めてお客様に接してくれるおかげで、安心して公演ができます。猿面の大切な仲間達です。


上手・舞台袖

舞台監督がこんな風景を撮ってくれました。珍しいアングルです。

22日木曜の夜、ゲネ開始前の準備の様子です。 実際の本番前も大体こんな感じの風景です。

誰が何をしているか、覗いてみてください。


初日、夜公演も終了し、お客様をお見送りした直後、そこら辺をうろついていたメンバーで記念撮影。
若者は未成年なのでボカしてありますが、実際は超笑顔です。

朝の集合から、ゲネ、昼公演、夜公演を終えました。
2時間以上の芝居をこの日一日で三回やりましたが、皆元気な笑顔です。


11月25日 楽日

楽日も朝から青空です。
眩しい朝日のなか、開館を待つ猿面達。
猿面達が芝居漬けになれる幸せな数日間は、あっと言う間に過ぎていきます。


劇場に入り、全員集合。挨拶と、諸々の伝達や確認をし、公演準備を開始します。
このときの様子は、後日、動画版劇場風景として公開します。


13:30 開演

胸轟かす愛の歌 「詠.愛.」 最後の公演です。


Ⅲ(スリー)の話

アンドロイド役を演じた野上。
これまでオカマや幽霊、外国人も演じてきましたが、今回は機械の役でした。
電源を入れてもらうまでは動いちゃいけないので、呼吸も密やかにしていたそうです。
ほぼ裸状態で登場しましたが、くしゃみも咳も出来なかった野上。
登場シーンでは、一旦寝転がってしまうと、どんなにキツイ体勢でもそのままで耐えなければならず、静止している大変さを痛感したそうです。

胸には電飾の装置を装着していました。これが稽古風景にも載っていた「ややこしい装置」です。
この装置も作ったのは野上です。テグスを使っていたのでそれが絡まったり、電飾とコードで繋がっている箱型のスイッチが落下したり、スイッチのON・OFFをしくじったりと手こずっていました。
動いてもずれないようにテープで固定しなければならず装着に時間がかかるため、通し稽古をするようになってからは自宅で装着して稽古場へ。
この装置を胸に固定するには、どうしてもブラジャーの様な形にしなければならず、しかもヌーディな肌色。ウッカリ見てしまった女優さん達が、思わず眼を背ける変態仕様。事情を知らない人に見られてしまったらどうなる事か。
「これを付けたまま事故って病院行きにでもなったら変態扱い間違いなしだ」と本気で事故を警戒していた野上。稽古場への移動はいつも以上の安全運転を心掛けたそうです。

役者としても、裏方仕事でも、芝居をつくる事に関して凝り性の野上。ヘンクツな演出家と息が合うと言う点でも芝居が好き過ぎる変態と言えるでしょう。


美代の話

今回の主演は、我等が代表・田中綾子でした。
稽古期間中、シノダから痛烈なダメ出しを食らい、稽古風景でもさんざんな言われようをしていた代表。

シノダは代表が次の段階に進んでくれるのを、ここ数年期待し続けています。
真面目で律儀な代表は、猿面の太陽です。
女優としても舞台で輝きを放てるとシノダは見ていますが、それだけに要求することも多くなります。出演させるたび、彼女に必要な役を生み、しこたまダメ出しします。

シノダは今回も彼女のために、代表が苦手とする”女性らしさ”を出す役を用意しました。
スリーといちゃつくシーンの稽古では、バッファローみたいとか、獅子舞みたいとか言われるほど、色気もなんも無い状態でしたが、 本番でのこのシーンについて、シノダからダメは出ませんでした。
脚本では艶かしく湿気のあるシーンのはずでしたが、代表が演じた事で、いやらしさの無い、微笑ましいシーンになり、それはシノダから見て好ましいものだったそうです。

シノダは、「芝居は人が出るから」とよく言います。
良くも悪くも、役者自身の人柄が舞台で曝される。
今回のこのいちゃいちゃシーンは、良いほうに代表の人柄が出たとシノダは見ていたそうで、それはシノダにとって嬉しい誤算だったとの事です。

そして、今回も開演前のご挨拶は代表でした。
開演直前、お客様へのご挨拶を終え、舞台裏に移動し、舞台上でスタンバイしました。
ご挨拶する劇団代表から、役を演じる者への切り替えを僅かな時間でキッチリやれるのは、田中綾子の特技と言っていいでしょう。


公演終了!!

おかげさまで、今年も無事に公演終了です。今回のカーテンコールの振り付けは、”格好(カッコ)ばかり”の歌詞に掛けまして(?)、鍵カッコのカッコ→「」を表現したそうです。
わかりづらい〜、でも、シノダはそんなのが大好きなんです。
「」だと気付いていただけたかどうかは別として、お客様の大きな拍手と温かな手拍子に包まれ、猿面達が幸せを感じるひと時です!ありがとうございました!!


バラシ直前の記念撮影
今回も若者達がバラシを手伝ってくれました!ありがとうございます!!(二十歳以下はモザイクです)

2018.11.25 16:08


公演後記

【出演者】

田中綾子

美代
劇団代表・田中綾子

公演に足を運んでくださった皆様、協力してくださった方々、ありがとうございます。
皆様のおかげで、無事公演することができました。
本当にありがとうございました。

美代。
私とは、かなりタイプの違う女性でした。
女性らしさのかけらもない私。
普段の生活にスカートを取り入れたりもしましたが、中身はなかなか変われず、 稽古ではバッファローとも…。
みんなの助けもあり、本番までには、なんとか人間になれたと思います。

今回美代を通して、他人にはあまり見せることはない、いろんな感情を出しました。
美代をやらせてもらえて良かったです。
まだまだ課題は残っていますが、彼女をやることで、少し自分が変われたような気がします。
ありがとうございました!

2018.12.10


芝崎シズカ

沢渡
芝崎シズカ

この一年、ずっと迷ったり、悩んだりしながら沢渡という役に向き合ってきた。
それはきっと、沢渡という役だけにとどまらず、どの役にも通じる根本のことを考え続けてきた。
公演が終わってもまだ迷いはここにある。
この迷いは次へ持ち越されることになった。

でも演出からは、その迷いが大切なのだと言われた。
彼は優しくて厳しい。時にその優しい言葉は棘のように胸に刺さる。
今回もらった数々の言葉は昇華されず、私の胸に刺さったままだ。
だけどこのまま次へ行こうと思う。
生々しく胸に刺さった棘を抱えたまま、役者として成長したい。
沢渡を演じ終えた今、そう強く思っている。

そして今回、久しぶりに音響を担当しました。
舞台袖で音を出す毎に、それぞれの役に同調して感情を揺らすので、幸せだったり、哀しかったり、悪になったり、善になったり。
独りで秘かに上がったり下がったりしていました。
感情の起伏で力が入り過ぎる場面もありましたが、芝居の一部として音や音楽があるように、そのことを意識して音を出していました。
芝居をすることだけではなく、芝居を作ることが好きだ!と感じられた幸せな時間でした。

今回お世話になった皆様、迷える私を厳しく優しく見守ってくれた大好きな仲間。
心から感謝します。ありがとうございました。

2018.12.10


山田しょうこ

智代
山田しょうこ

本番が始まる。一回目、緊張した。
二回目、後 2回しか智代さんに会えないのかと、寂しくなった。
三回目、緊張で、真っ白だった。
終わって、また、課題が山積み。以前の課題も終わってないのに。

だから、一つずつ、少しずつだけど 片付けていこう。助けてくれる人たちがいる。
その人たちのためにも、観に来て下さるお客様のためにも、自分のためにも。
大きな声で、ありがとうって、言えるように。

2018.12.11


桜久里子

幸代
桜 久里子

幸代として舞台上でどう生きるかそのことが最重要でした。
演出からのダメ出しを頭で反芻しながら舞台袖で待つ時は、緊張と高揚感でいっぱいですが、幕が上がるとスーっとその世界に溶けていくような感覚でした。幸代として生き抜けたでしょうか?

公演後にたくさんの方々から嬉しいお言葉をいただきました。
自分の中では反省しきりなのですが、「面白かった」「笑った笑った」「いろいろ考えた」など後押しされる感想に少し胸をなで下ろしています。 皆様本当にありがとうございました。

2018.12.3


野上竜司

LV-Ⅲ
野上竜司

純真無垢ではない僕という人間が、純真無垢なアンドロイドになるのは嘘っぱちもいいところです。スリー役が決まってから、このばれてしまっている大嘘をつき通すと決めました。
「あれは人間が演じている」とバレバレでも、堂々と嘘をつき続け、ぶれる事無く真剣なごっご遊びをしようとしました。そうでもしないと、自意識に負けてしまうと思ったからです。

宣伝動画を撮影した頃から、”機械の目”というフレーズを思い浮かべていました。機械の目になれるはずはありませんが、機械の目で見ることを想像し、錯覚しようとしました。

清らかなもの、美しいもの、健気なもの、謙虚なもの、そして、それらと反対のもの。この芝居に渦巻く人間ならではのものは、機械の目にはどう映るのか。機械の目のごっこ遊びは、今までにない面白さがありました。人間ではない今回の役は、人間である僕に、人間についての様々を教えてくれました。

ありがとうございました。また次回も劇場でお待ちしております!

2018.12.10


【スタッフ】

Nana

照明 Nana

私が猿面を見始めてから12年、それでも毎年新しい発見と感動があります。
稽古場の蛍光灯の下でも感じる感動を、照明という効果がついた上で観れる、お客様はなんて羨ましいのだろうと毎年思っています。
また来年も、新しい感動を体感しに来てください。
ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。

2018.12.10


重城サエ

受付会場 重城サエ

平成最後の猿面はいかがでしたでしょうか。
舞台上で繰り広げられる人間模様を、団員であり、猿面ファンである私も楽しみにしていました。
そして、今年も多くの方々に観ていただきありがたかったです。

来年は元年です。
楽しんでいただける舞台となるよう尽力していきたいと思います。

2018.12.10


脚本・演出 しのだ 冬吾

第19回公演「詠.愛.」にご来場いただきました皆さま、まことにありがとうございます。
そして、公演にご協力いただきました皆さま、今年もありがとうございました。

おかげさまで無事公演を終え、観客動員数を更新することもできました。
回を重ねるごとにお客さまが増え、団員一同喜んでおります。
今年もアンケートやお言葉で、多くのご感想やご意見、応援をいただきました。観てくださった方々のたくさんのお声が猿面の励みであり、何よりのご褒美です。ありがとうございます。

今回は、物語に人工知能が登場するのを匂わせようと、「詠.愛.」という題名をつけました。
アナログ寄りの僕が書く脚本は、昭和の匂い漂うものが多いので、今回の物語は異例と言えば異例でした。脚本を書いたのは昨年末でしたが、本番の日が近づくにつれ、A.I.についての話題がどんどん増え、それだけ急速に進化し、否応無く身近なものになっているのだと感じました。
僕にとって苦手意識のある分野でしたので、必要な情報や資料を集めてから脚本に取り掛かりました。まだ実現されていない機能まで搭載している最先端アンドロイドを登場させたわりに、書き上げてみると、至極人間臭い物語になったように思っています。
2時間を越える芝居でしたが、「短く感じた」、「あっと言う間だった」というご感想を多く頂戴し、安心しております。
そして今回は、「考えてみます」というご感想が多く、大変嬉しく受け止めました。僕は毎回、考えを押し付けるのではなく、何かを感じて貰えるか、どう感じて貰えるか、という想いで脚本を書いています。直接お話したこともないお客さまから、「考えてみる」と言っていただけたことは、作者として何よりの喜びです。

作者としては喜びの多かった今回の作品ですが、演出の立場では色々と考えなければならない作品でもありました。
考えなければならないことの数々がありました。
僕は今回、初日を迎える直前から今まで、公演を終えた余韻もなくずっと考えています。

僕が求める役者は、上手く出来る出来ないではない、芝居が上手い下手ではないということを役者たちに伝えてきました。
「劇の中で生きる」ため、世界をつくるために必要な役者の佇まいはどうあるべきかを問い続けてきました。
芝居をつくることや演技についての捉え方、感性や達成感は、人それぞれです。
「姿も考え方も同じ人間は誰一人としていない」
アンドロイドのスリーのセリフ通り、人は一人一人違うのは当然のことです。しかし、考え方が違う人間の集まりだとしても、みんなが同じ方を見ていなければ目指す劇の世界はつくれません。
座付き作家であり、演出家でもある僕は、劇団にとっての矢印だと思っています。教える「先生」ではなく、猿面が進んで行く方向を示すのが役目です。
矢印である僕には、今回の公演でたくさんのご好評をいただいたことに安堵すると同時に、「まだ足りない」という思いが湧いてきます。
この作品を通して、信頼できる役者は僕の考えを理解してくれている役者たちだということを、彼らの力強さによって再確認できました。そして、お客さまと劇の世界を一緒につくれた喜びは過去の作品同様に感じています。だからこそ、もっと伸ばしたかったという貪欲が付き纏ってきます。

矢印の指し示す先は、ずっと変わっていません。
矢印はずっと考えています。これからの猿面が忘れてはいけないこと、これからの猿面に必要なことについてを。
芝居をつくり、それを観ていただけるというこの尊い幸せを守っていくためには何をすべきか。
しかし、矢印があるだけではどうにもなりません。それを見つめる者たちが今よりもはっきりとそれを捉えていかなければ、進むことはできません。
第10回公演の稽古風景の最終回に、
「小さな劇団、猿面が心を込めてお届けする劇世界」と、あります。
僕も役者たちも踏み出したばかりでした。お客さまのご来場がかなり少なかった頃です。
猿面という劇団を確立するために当時の僕が搾り出した精一杯の宣伝文句でした。
あの時僕らがつくった劇の世界はささやかで、色々な面で今よりも下手くそだったかもしれません。それでも全員の心を込めたことには自信を持っていました。
猿面は、まだまだ小さな劇団です。小さな劇団でいいと思っています。どんなに小さくても、全員の心を込めた芝居づくりができると胸を張って言えることが劇団猿面の誇りです。

猿面の芝居を「また観たい」と思ってくださっている方々のご期待を裏切るようなことだけはしたくありません。
そして、自分達の芝居をすべてにおいて「これでいい」と思うこともできません。そんな恥知らずな満足をしてしまった時、矢印は下を向くしかありません。
劇団猿面の矢印は、上へ、そして前へ、向いて行きます。どうぞ、これからも小さな劇団、猿面がつくる劇の世界にお付き合いいただけますようお願い申し上げます。

しのだ サイン
2018.12.11


舞台写真


最後までご覧いただきましてありがとうございました!

次回も劇場でお会いできますように!!
劇団猿面一同


劇団猿面「詠.愛.」劇場風景—番外編
劇場風景の動画版です。公演準備中の猿面たちの様子や、舞台裏・舞台映像がご覧いただけます。

画像をクリックするとYouTubeのページでご覧いただけます。


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