「刃をのせて」
2016年11月12日/13日
いらっしゃいませ。
このページでは、2016年11月公演の小屋入りから公演当日の様子をお届けします。
出演者・演出の公演後記もあります。
どうぞごゆっくりご覧下さい。
11月8日 小屋入り前の準備
今回のセットで使用したこちらの段ボールは、団員達の手作りです。
小屋入り前の火曜日に市内の公民館に集合して作りました。
段ボールは、真四角に加工するには手強い相手です。
当初は購入を考えていましたが、調べてみたら正方形の段ボールは特注になるらしく、結構なお値段でした。
ここにお金を使わず、頭と体を使うのを選ぶ猿面。いつもながらの「成せばなる精神」でもって手作りすることになりました。
大きめの(お金の掛かっていない)段ボールを持ち寄り、切って貼って、枠の部分には半紙を貼り付けました。
朝から作業開始しましたが、やはり手強かった段ボール。
公民館をお借りできる時間は制限があるため、時間ギリギリまで昼ごはん抜きで作り続けました。
一見、ただの段ボールが重なっただけのものですが、縦置きにしたり、横置きにしたりする為の工夫や、照明・小道具を隠しておく為の仕掛けなどがされていました。
11月10日 小屋入り 照明・音響の仕込み
今回の公演の小屋入りは10日・木曜日でした。
この日は照明の仕込みを中心に行い、音響関係も音量を合わせるなどの下準備を進めました。
照明の親分・シズカさんは、午前中仕込みに参加、でもって午後はお仕事へ行き、夕方再び劇場に戻ってきて仕込みの続きをしました。
演出シノダの思い通りの照明を作れるのはシズカさんだけなので、過酷なスケジュールをこなさなければならなかったシズカさんでした。
今回も照明オペレーターのNanaさんに伝授しているシズカさん。
11月11日 公演前日 仕込み
セットの仕込み中です。役者たちは大道具作り、受付スタッフさん達は、看板や受付道具を準備。
特に指示が無くても、勝手に働く仲間達です。
セットの完成後は、(立ち位置を確認する)場アタリしながら(立ち位置に印を付ける)バミりをし、音響・照明との段取りを確認。そして夕方からはゲネ(リハーサル)が開始されました。
オープニングの立ち位置を確認しているシズカさんと野上。
仕込み中は暖房が入らないので、二人とも着込んでます。
今回珍しく小屋入り直後から喉が荒れ気味だった野上。
歌のシーンでもマイクが要らないと言われ、窓ガラスをビリビリ言わせるほどのデカい声が出る鉄の喉ですが、どうした事でしょう。
今回の芝居はいつもより袖幕を使っているから埃にやられた、というのが本人による分析です。
龍角散の飴と粉末に加え、喉スプレーもやってるから、もうそれで大丈夫!と、信じられるおめでたい性格なので、芝居中は喉荒れのことなど忘れ、いつものデカい声を出していました。
幕に霧吹きしてくれているのは、サエちゃんです。
今回も受付会場スタッフとして参加してくれました。
楽日で起こったハプニングにも必死で対応してくれました。
(簡単にご説明しますと・・・悪気では無く大きなお声でお話してしまうお客様がお見えになり、対応のため開始が遅れたという、猿面史上これまでに無い事態でした)
幕が上がる直前の出来事でしたので、役者たちも舞台上で「このまま開始してもいいものか」と困惑していました。
1年近くかけて大事に作ってきた作品です。
せっかくお越しいただいたお客様皆さまに、きちんとお見せしたいという願いは、役者もスタッフも同じです。
サエちゃんの丁寧な対応と、舞台監督の手助けもあり、事なきを得て、無事に楽日の公演ができました。
暗闇でかなり嫌な汗をかき、半泣きになりながらがんばってくれたサエちゃん、ありがとうございました!
この回にお見えになっていた猿面サポーター数名の方も、手伝いに立ち上がらんとしてくれていたことを後ほど聞いた団員達。
ありがたいことです。一同感謝しております。
また、この回にご来場のお客様方にもご心配をお掛けしましたが、冷静に開始をお待ちいただきまして、ありがとうございました。
11月12日 初日
前日の雨も止み、初日は良いお天気の暖かい一日でした。
アンケートの用意も万端です。
いつもたくさん書いていただき、ありがとうございます!団員達の励みになっているアンケート。
楽日の打ち上げの席で、酔っ払う前に皆でありがたく読ませていただいております!
皆、真剣に読んでる為、読んでいる最中は沈黙の時間があります。
呑み屋の店員さんに、「異様に静かな団体客」と、不気味に思われているかもしれません。
13:30開演
「刃をのせて」 闇を切り裂いて開演
地下足袋の話
今回、代表・シズカさん・野上の履物は地下足袋でした。
稽古開始当初は、履くのに時間が掛かっていましたが、稽古終盤には足に馴染み、スムーズに履けるようになっていた3人。
代表とシズカさんは、今回の芝居のために購入しましたが、野上は何故か地下足袋を元々持っていました。
「かなり昔に欲しくて買った」そうですが、どうして欲しかったのか、何に使うつもりだったのか。
今回も小屋入りしてすぐに舞台上を雑巾がけしましたが、野上は、「地下足袋は雑巾がけには最適だ」と、喜んでいました。
ちなみにスモールシズカさんは、足もちっちゃいので、地下足袋がやや大きく、靴下を重ね履きして調整していました。足袋ソックスをたくさん用意することになったシズカさんでした。
特別出演の丸ちゃん
丸ちゃんです。
そして、裏では音響もやっていました。
(前回公演も役者と音響兼務でしたね)
今回は『爺やん』として出演しました。
いつものように人使いの荒い猿面です。
鼻の下のバンソウコウは怪我ではありません。
爺やんのお髭を両面テープで貼る為にバンソウコウを貼っています。
両面テープだけでは髭が取れちゃって面白い事になってしまうのでバンソウコウで粘着力を強めました。
両面テープって直に肌に貼ると、取れ易いのね。やっぱり肌にはバンソウコウ!と、学習した猿面たちです。
爺やんになった姿がこちら。
今回も看板をつくってくれたMASAHIKOさんとの2ショット。
爺やんの髭と眉毛は、野上工房が100均の材料で作りました。
南部青少年センターさんのクリスマスツリーも写ってますね。もう、サンタさんにしか見えませんね。メリークリスマス♪
猿面のメンバーとしても、役者としても癒し系の丸ちゃん。
演出シノダは、その癒しパワーにあやかろうとしてか、今回も役をつけました。
丸ちゃんは公演間近の頃、自宅でウッカリ頭を切って(え!!と、皆が驚いた)縫うほどの怪我をしました。
なんだか怪我の多い人なんです。
しかし、毎回早めの回復となるので、タフと言えばタフです。
公演終了後には、抜糸も無事に終ったそうです。
おなじみの受付穣、マツと久里子さんです。
マツは今回も仕込みから全公演参加してくれました。頼りになる受付の親分です。
久里子さんも仕込みから参加。裏方仕事も覚えてくれています。
そして、今回もドドン、と立派な看板。
MASAHIKOさん、毎回ありがとうございます。この看板に目を留めて、ご来場くださったお客様もいらっしゃいました。
抜群の宣伝効果を発揮してくれた看板です。
今回は、シートの素材も特殊なものを使ってくださったそうです。
こんなに立派な物を作っていただいて、一同身に余る光栄です。
トメさんの話
これまでにないセリフ量と出番を与えられたショーコ。
稽古風景にもありましたが、彼女の熱意が今回の重要な役であるトメ役を引き寄せました。
語り手としての役目もありました。語りが入るのは猿面で初めての設定でした。
もちろん、ショーコにとっても初挑戦の役目でした。
暗転中に語りが入るので、ショーコは休む間もなくシーンの連続をこなさなければなりませんでした。
女優さん達は、稽古日以外の平日にも自主的に集まり、特訓をしたそうです。
今回の芝居はセリフ量が通常より多く、ふだん使わないような言葉も多くありました。
セリフにうるさいシノダは「お客さまに正確に伝える」事を要求しますから、ショーコ以外の役者も苦戦したようです。
初挑戦がいろいろあったショーコ。この大きな役について悩み続けた稽古の日々でした。
「上手くやろうとせず、この役を愛して欲しい」というのが、演出シノダのショーコへの要求でした。
この役に対して抱いた思いが、芝居の上だけにとどまらず、今後のショーコにとって大切な要素になるとシノダは思っていたそうです。
美蜂の話
美蜂を演じた代表です。
今回も、開演前のご案内は代表の役目でした。
やはり代表じゃないとダメだということで、開演直後に出番があるにも関わらず、挨拶に立ちました。
今回の芝居は身体を張るシーンが多かったのですが、代表もかなり身体を張りました。
代表がいつも苦手とするダンスもありましたが、今回のダンスは、覚えるのも早く、比較的良く動けていました。
それは何故か。曲が音頭調だったからでしょう、きっと。
音頭は得意なんです、代表は。
身体を張ったと言えば・・・このシーンです。
暴れる野上を代表とシズカさんが止めるというシーンですが、野上が本気で振りほどこうとするので、
止めるのに必死だった二人です。演技だけでは振り飛ばされるので、本気で食らいついていました。
二人が本気を出しても野上の力で引きずられてしまうのに、さらにタチの悪い事に野上は身体をひねって切り替えしたり、押したと思ったら引いてみたりと技を使います。
ある稽古の時には、技に掛かってしまった代表が、見事に転がって行ったという事もありました。
回転レシーブみたいだったと、見ていたNanaさんが驚いていました。
野上も、「あれ?代表が消えた?」と思ったらしいですが、芝居を続けていたので、その瞬間が見られず残念がっていました。
野上は稽古後に、「怪我しませんでした?」と一応フェミニストなんで訊いたものの、「見たい〜、もう一回やってください」と要求していました。
代表本人も何がどうなって回転レシーブになったのかわからなかったそうで、再現はできませんでした。
夜公演も終了し、怒涛の初日が終りました。
朝からゲネもやりましたので、この日は3回分「刃をのせて」を演じました。
2時間×3回の6時間芝居していたんですね。
幸せ者、と言っておきましょう。
11月13日 楽日
楽日の朝。今回の公演はお天気に恵まれました。
猿面たちの車は、いつもどおりの配置で駐車。
残すところ1公演。
開演前のスケジュールは、前日と打って変わって余裕があります。
団員達は、朝一で衣装・小道具、その他公演準備をそれぞれ整えます。
このときの様子は例年通り撮影しましたので、劇場風景動画版でお届けします。
後日そちらも公開しますのでお楽しみに。
こちらは照明Nanaさんの準備。
「客電」は観客席の照明です。開演する時にこの明かりを消さなくてはなりません。
消し忘れを防止する為に、大きく書いて置いてありました。
小学生の頃は受付穣として公演を手伝い、その後シズカさんに仕込まれ照明を担当してくれているNanaさんですから、リスク管理もオペレーションも、手馴れたものです。
「耳が良い」とシノダも絶賛しています。
音響やセリフに合わせて照明を変えるのも絶妙のタイミングでやってくれるので、シノダは「Nanaちゃんのセンスでやっていいいよ」と、安心してお任せしています。
昨年、シノダに貰った充電式ゆたんぽを抱いて、今回もしっかり働いてくれました。
Nanaさんも猿面にとって欠かせないスタッフの一人です。
そして、こちらは舞台上で猿面達が語らう風景です。
劇場風景のスナップ写真を撮ってくれているのは、実はシズカさんより団員歴が長〜い舞台監督です。
彼はいつも皆に気付かれないように、こっそり撮ってくれるので、この風景もヤラセではなく自然な表情の写真です。
気は優しくて力持ちの、頼れる舞台監督。大道具制作は、彼がいないと始まりません。
大きな手で、実生活でも使えるのでは?というほど緻密に作ってくれます。
猿面の男性陣は全員仕事が細かい人たちですが、シノダの希望通りの大道具をどうやって作るかについては、舞台監督の指示を仰いでから取り掛かります。
そして、本番中はビデオ撮影もしています。
本番中、劇場のどこかに隠れてしまう演出シノダのかわりに、客席の後から皆を温かく見守ってくれている猿面の重鎮です。
今回の芝居では、役柄上必要だった身のこなしも稽古しました。
楽日当日も、シズカさんは野上から重心の掛け方を教わっていました。
シノダの依頼で、武道歴20年を超える野上が稽古期間中からシズカさんと代表を指導。
これが5月の稽古風景に記載した「体力づくり」です。体力づくりをするたびに、スゴイ筋肉痛に見舞われた二人。
野上は自身の経験上、ドMを経てドSになっている人なので甘くありません。
「一週間に一回やっても何にもならん、家でも毎日やれ」と言われたシズカさんと代表。
当初はひどい有様でしたが、芝居の稽古前に汗をかき、少しずつ上達した二人。
代表は生真面目が過ぎ、シズカさんは負けず嫌いが過ぎるので、ヘコタレませんでした。
もちろん本物のようにはいきませんが、野上センセイに努力は認めてもらえたようです。
シノダも、この程度の練習で何年も修行を積んだようにならない事は承知していましたが、彼女達が今回の役をやる上で体験するだけでも意味があると考え、指示した体力づくりでした。
楽屋風景
毎度おなじみの楽屋風景です。楽日の食事は、男楽屋でみんな揃って食べます。
楽日の公演に備え、食後には差し入れでいただいた甘い物もいただきます。
全員甘いものが好きな猿面です。
甘いものを食べている最中、指まで舐めて団員達から非難された代表。
シズカさんに叱れても、言う事をきかず、ずっと舐めていた劇団代表。
良い子は真似しちゃいけません。
衣装に着替え、発声・ウォーミングアップをしたら、間もなく開場時間です。
各所にちらばり、開演の時を待ちます。
13:30 開演
”己の刃を 耐えて鍛えるべし”
胸に刻んで、幕開きです。
蝶子の話
母のように優しく、たおやかさをたたえながらも、鱗粉に少し毒を持つかのような蝶子役を演じたシズカさん。
常日頃、劇団内で「母性の権化」と言われている彼女でなければ演じられない役でした。
日本女性の美しさを体現するため、立ち居振る舞いにも気を配ったシズカさん。
役に忠実な彼女は、専門家の指導を受け、日常生活にも取り入れていたそうです。
蝶子役さながらに、女優陣の自主稽古でもその面倒見の良さを発揮しました。
シズカさんの病的な芝居好きは年々増しているようです。
毎公演、シノダのあの手この手で違うタイプの役を与えられますが、どの役も大切に演じ分け、さまざまな表情を見せてきました。
今回も、前回公演の「浜ちゃん」と同一人物と思えない大和撫子を演じ切りました。
ヘンクツ者の演出シノダの信頼を獲得している猿面自慢の看板女優です。
今回の芝居も手作りの品が数々ありました。
トメさんの衣装は、実はショーコ本人の手作りでした。ホントはAmazonで買ってません。
洋裁が得意なショーコが役のイメージに合わせて、気合いを込めて自作しました。
『野上工房』も大忙しでした。
野上が着た腹当ては、本人が作りました。シズカさんの衣装も作り、3人分の帯も作り・・・公演回数が増すごとに発注が増えている?と野上もそろそろ気がつき始めました。
こちらの行灯(?)と、ロウソク置きも野上工房です。
ロウソク置きは、殆ど見えなかったと思われますが、材料は紙粘土です。渋い色が塗ってありました。
蝶子のカンザシ二点も野上工房です。紫の方は、美蜂とお揃いでした。
そして野上工房今回の自信作、『忍者あめ』です。
「忍者の飴じゃ」って書いてあります。
忍者マークがカワイイと、劇団内で大好評でした。
印刷したシールを一枚一枚半紙に貼って、袋状にしてあります。
一つずつ袋貼りした野上。図工の成績が良かった男です。
勇気を出して前列に座ってくださったお客様に、劇中で差し上げました。
遠慮なさらず前のお席にお座りいただくと、こんな楽しいプレゼントがあるかもしれない劇団猿面です。
今回は劇団初の試みとして「お子様連れ専用席」をご用意しました。
最前列ではない席を用意していたので、お子様にはこの飴をもらえるチャンスが始めからありませんでした。
せっかくだから、お子様にこの飴を差し上げたい。と、いうことで、お子様がお見えになったらカーテンコールで忍者あめを差し上げようと打ち合わせしていました。それで当初の予定数よりも飴の数を増やしました。
1回目の公演では残念ながらお子様のご来場はありませんでしたが、2回目、3回目公演ではお子様にお越しいただいたので、飴ちゃん、差し上げました。皆、喜んでくれたかな?
お子様連れ専用の席を用意したいと言い出したのはシノダです。
一般のお客様への配慮もありますが、実は「お子様歓迎」の意図もこっそり秘めていました。
猿面の芝居は、基本大人向けなので、これまではお子様のご入場を制限したことも多くあります。
シノダは、「お子様にはまだ見せたくない芝居(ヘビーな内容による悪影響を避けたい意味で)」をつくることが多いのですが、今回の『刃をのせて』はむしろ子ども達に見てもらいたかったそうです。彼の劇作では、極めて稀なことです。
楽しいシーンが多く、観やすい物語という事もありましたが、物語のメッセージを、今の世の中で成長していく子ども達にも聞いてもらいたいという思いもあったようです。
押し付けめいた事は書かない主義のシノダではありますが、今回の芝居は伝えたい信念を直球で表現した脚本でした。
お子様のご来場数は予想より少なめでしたが、真剣に芝居を観てくれている姿や、戸惑いながらも嬉しそうに飴を貰う姿も見られたことをシノダは喜んでいました。アンケートも書いてもらい、その純真な感想に敬意を払うシノダでした。
そして、土曜の夜公演のカーテンコールで恥ずかしそうにしながらも舞台にあがってくれたお子様には団員一同感謝です。
なかばムリヤリな感じではありましたが、実は劇団員の親戚ということでしたので、本人の事前の承諾無しでご協力いただきました。
○○ちゃん、ビックリさせてごめんなさい。おかげさまで楽しいカーテンコールになりました!
ありがとうございました!
お江戸村特別ショー
こちらのシーンでは、お客様皆さまにご協力いただきました。
一緒にニンニンの名前を呼んでくださいまして、ありがとうございました!!
予想以上に大きな声で呼んでいただき、ニンニンはじめ猿面一同驚きながらも、喜んでおります!
歌・ダンスシーンでも、たくさんの手拍子、ありがとうございました!!
皆さまと一体になることができ、ホントに楽しい「お江戸村特別ショー」になりました!
蜘蛛也の話
ニンニン=蜘蛛也役を演じた野上。
ちょっと面倒くさそうにお姉さんたちの相手をしていた蜘蛛也の様子は、常日頃、劇団内で代表・シズカさんと接している野上とほぼ同じと言っていいでしょう。
そして劇中、「キライだよ!子どもなんか!!」というセリフがありましたが、これも、ふだんの野上が言っているセリフです。
シノダは彼の言葉をセリフにしました。
野上は、そんな事を言いながら、小学生の相手をする機会が多いらしいので、ここも蜘蛛也と共通しています。天邪鬼です。
子どもだからって子ども扱いしない。のが、彼が子ども達と付き合うときのルールだそうです。
対決シーン
本番ギリギリまで動きの調整をしたこちらのシーン。
稽古場でも繰り返し練習した場面です。そこそこ大人の猿面達ですから、日常生活で走り回る機会はめっきり減っています。
代表とシズカさんは、何度も走りました。
しかも二人同時にピタッと止まらなければなりません。
「あ!ごめん!」
「ちッ!間違えた!」とか何とか言いながら、練習を重ねてきました。
長年芝居を一緒にやってきた二人です。芝居で息を合わせるのは慣れていても、この特殊な動きを合わせるのは訓練が必要だったようです。
公演終了!!
今回も盛大で温かな手拍子、ありがとうございました!
3公演ともそれぞれ楽しいカーテンコールが実現しました!!
バラシ直前の記念撮影
2016.11.13 16:00
とめ 山田しょうこ
公演が終わったら 心にぽっかりと大きな穴があいた。私は足を取られ 暗くて深いその穴に、落ちた。
どうすれば 出られるの?
どうすれば 埋められるの?
この穴は、私の気持ちと、多くの方への感謝と、私が 大切に思っている人たちが かけてくれた言葉と 心と たくさんのありがとうで、埋めよう。
私が、その上にしっかりと立っていられるように。
そして、いつの日にか みなさんに、逢いたい。
2016.11.24
美蜂 田中綾子
猿面公演に足を運んでいただき、ありがとうございした。
小屋入りからちょうど2週間後の今日、雪が降りました。11月に雪が降るなんて考えてもいなかったので、びっくりしました。
小屋入りの日や、公演日だったら大変でした。
今回の公演、お天道さまが味方してくれたようです。
劇場では、日曜日にハプニング。
役者達は既に舞台上。客席で起きている状況を、ただ待つことしか出来ませんでした。
そんな中「何としても舞台を成功させる」という強い思いで対応してくれたスタッフのお陰で、無事公演することができました。本当にありがとうございます。
そして、アンケートには「スタッフの対応すばらしかったです」と書いてくださった方もいらっしゃいました。
芝居だけではなく、空間すべてが猿面。
今回改めて、それを感じさせてもらいました。
今年も嬉しいことに、ポスターや看板で公演を知り、観に来てくださったお客様がいました。
目を惹く素敵なものを作成してくださったMASAHIKOさん、ありがとうございます。
そんなこんなで、みんなに支えられながら活動している猿面です。
しかし私自身は、全くと言っていい程成長が見られません。
前回の公演同様、演出やメンバーから、たくさん言葉をもらいました。
ほんの少しずつでも変わっていかないと。
いつまでも燻ってる訳にはいきません。
進んで行かなければ。
毎年猿面公演を楽しみにしてくださるお客様がいる。
仲間が居てくれる。
こんなありがたいことはありません。
そのことを忘れず、猿のしっぽをしっかり掴んでいきたいと思います。
また来年の秋、皆様にお会いできる日を楽しみにしています。
ありがとうございました!
2016.11.24
蝶子 芝崎静夏
“芝居馬鹿”と言われるのが嫌でした。
芝居をつくるのが大好きで、誰から見ても明白なのに。
そのくせちょっと斜に構えて、素直に認めないで。
だけど今回の芝居に出会って、私のそんなくだらないこだわりなんてどこかに吹き飛びました。
彼らが頭の中で活き活きと動き始め、私も舞台の上で蝶子として彼らと対等に渡り合いたいという欲求がふつふつと湧いてきてしまったので。
好きで何が悪い!
開き直るとなんだか強くなれたような気がします。
芝居が好き、この作品が好き、これ以上に私の背中を押す力なんてないような気がします。
解放された力は二度と押し込められず、今後の私の原動力になるのでしょう。
何よりも得難いものを得た今回の「刃をのせて」。
物語でありながら、知らないだけで本当にあるのかもしれないと思わせる世界。
演じ終えた今、現実と劇世界のあいまいな境界で、木々の間に彼らの姿を捜してしまいそう。
清々しい寂しさと、心地良い余韻を楽しみながら、幸せを感じています。
ありがとうございました。
2016.11.24
蜘蛛也 野上竜司
蜘蛛也ほど正統にストイックな役はこれまでなかった。
曲がりなりにも武道をやってきているので、己を鍛える事に関しては、それなりの考えは持っている。その点で、この役は自分にとってかけ離れたものではない。
自分も実生活でストイックだと言われる事があるが、無論、蜘蛛也ほどのものではなく、お恥ずかしい限りだ。
僕がストイックだとすれば、僕の禁欲の根源は欲望に他ならない。
達成したい何かがあるから、そこに向かうために自分を鍛えたいだけの事だ。
何の不満もなく達成できて万々歳という経験はかつて無い。
一定の達成感は得る事ができてもまだ満足できない。今回もそうだ。
もっと先へ進んで行きたいという欲望の塊だ。今回の芝居でその塊がさらに大きくなった。これに関する執着は果てしない。強欲になってしまった。
僕の強欲は、観てくださる方々や仲間の存在無しでは発動しない。僕はただの”虫(無私)ケラ”でしかない。
ありがとうございました。また劇場で欲望をむき出しにしてお待ちしております。
2016.11.28
爺やん+音響 丸 穣大
無事終わってホットしてる反面、あっというまの感じで寂しいですね。
ダンス初挑戦!うまくできてました?楽しかったー!!ニンニンジャー♪
いまだ脳裏から離れません(笑)
今後踊ることがあればもっと完璧を目指します!
2016.11.28
照明 Nana
毎年色々なことに挑戦していく劇団猿面を、いちファンとしてもワクワクしながら見ています。また今年も彼等の力に少しでもなれたのであれば嬉しいです。来年はどんなことをやってくれるのか・・・
2016.11.27
脚本・演出 しのだ 冬吾
第17回公演「刃をのせて」にご来場いただきました皆さま、まことにありがとうございました。
そして、公演にご協力いただきました皆さま、今回も貴重なお力をありがとうございました。
年に一度の公演を楽しみにお越しいただいた方や毎回遠方からお運びくださる方、又、ご家族ご友人をお誘いくださる方も多く、団員一同、心より感謝しております。
おかげさまで近年はお客さまも増えてまいりました。多くの方に観ていただけることは、猿面にとって何より嬉しいことです。
猿面は無料公演を続けておりますが、観てくださった方から「観劇料を払いたい」という、大変ありがたいお言葉をたびたび頂戴いたします。
僕は常日頃、役者たちに「プロの仕事をしろ」と言っています。
お客さまにご足労をお掛けし、お客さまの貴重なお時間を僕らの劇のために割いていただくのですから、料金の有無は関係ないことです。無料だからという甘えは許されないというのが、僕の劇団参加当初からの考えです。
僕が劇団猿面に参加した頃は、ご来場者数は今と比べてかなり少ない状況でした。
役者たちの意識も今のそれとは違っていました。
僕が目指す劇の世界がどういうものか、当時の彼らはわからずにいたと思います。
僕の指示通りにセリフを言い、指示通りに動く。それだけで精一杯でした。
あの頃の僕の役者への要求は、「劇の形にする」というのが第一で、現在よりかなり低いものでした。
稽古のたびに、公演のたびに、僕のつくりたい世界や求める役者についての話をしてきました。
特に役者としての佇まいに関しては、自分でもイヤになるほどしつこく伝えてきました。
どこまで彼らに伝わっているのか、それは正直わかりません。
伝えた言葉を彼らが芝居に反映してくれる度合いは個人差が有るため、全体として満足するには至っていません。
ですが、今の彼らが昔の彼らと違うことだけは間違いありません。
彼らはただの「お芝居の上手な役者」を目指すような役者にはなっていないことだけは確かです。
その確信がなければ、『刃をのせて』を書くことは出来ませんでした。いや、書く気にもならなかったでしょう。
『刃をのせて』は、色々な意味でこれまでに無い要素を含んだ脚本でした。
物語の設定もその一つですが、物語に込めた思いもかつての脚本で表現したことがないものです。それだけに演出としての要求も欲求も高くならざるを得ませんでした。
「この劇の世界をどこまで実現できるのか、下手をすれば陳腐な芝居になりかねない。」
新しい領域に手出しする時、一度は考えることです。
しかし、そのたびに「なんとしてもやり遂げる。」という信念が湧き上がり、「僕の役者たちとならやり遂げられる。」という信頼が根拠となって、後ろ向きな考えを吹き飛ばします。
この脚本には、僕らが目指すところを思い切りぶち込みました。
「もっと厳しく覚悟を持て」と僕自身にも役者たちにも刻み込もうとしました。「己の刃を耐えて鍛えるべし」というセリフも物語の中の事だけではありません。理想の劇の世界をつくるために、理想の劇団猿面になるために用いたセリフの一つです。僕は、『刃をのせて』という物語によって、これからの猿面に”杭”を打ち込んだのです。
公演を終え、お客さまからたくさんのご好評を頂戴できたことによって、前述の信念も信頼も過信ではなかったと思わせていただいております。
本番中、お客さまの集中力や手拍子がどれほどこの芝居に色合いを与えてくださったことでしょう。僕らだけでは到底つくれない世界が劇場いっぱいに広がったことは、本当にありがたく、嬉しいことでした。
であればこそ、もっともっとと僕の欲望は膨らみます。僕も役者たちもまだまだ足りない事だらけに思えるのです。
もっと深くまで杭を打ち込みたかった。そんな思いも抱いています。
今回の芝居が成功したと言えるとすれば、劇場で一緒に世界をつくってくださった観客の皆さまに芝居を押し上げてもらった、その支えがあってこその成功です。
しかし、それに頼りすぎては申し訳ないのです。観てくださる方々に、もっと喜んでいただける劇をつくりたい。支えてくださる方々の期待にしっかりとお応えしたい。『刃をのせて』を終えた今、覚悟しなければならない思いが一層強くなりました。
”覚悟”などという言葉を持ち出すと、厳格過ぎるクソ真面目集団かと思われそうですが、そんなことはありません。
芝居をご覧になればおわかりいただけると思いますが、猿面は実に愉快な仲間たちなのです。そして猿面の結束の固さは、自慢できるものです。
猿面は僕にとって温かな家族のようなものです。この仲間たちと芝居をつくれることは無上の幸せです。
しかし、僕らは仲良しの集まりではなく、芝居をつくる人間の集まりです。家族の温かさに浸ってばかりでは停滞し、いずれ衰退を呼ぶでしょう。そして、僕らの芝居を好きだと言ってくださる方が増えれば増えるほど、その方々の優しさに甘えてはいられなくなります。
大切な仲間だからこそ、一緒に高みを目指したいのです。大切な役者たちだからこそ、もっと高い次元の芝居づくりの楽しさを一緒に味わいたいのです。そのためであれば、僕は迷わず、厳しく険しい道に彼らを引きずり込みます。
今回打ち込んだこの”杭”を埋もれさせることなく、今後も猿面は芝居づくりの一本道を歩み続けます。どうぞこの先も、猿面の歩みを見守っていただけますようお願い申し上げます。
2016.11.27
劇団猿面「刃をのせて」劇場風景—番外編
劇場風景の動画版です。公演準備中の猿面たちの様子や、舞台裏・舞台映像がご覧いただけます。
画像をクリックするとYouTubeのページでご覧いただけます。