劇団猿面劇団猿面第10回公演 劇場風景

STAGE10

「Eden」
—おいで・・・わたしの黒い猫。—
2009年10月17日/18日

↓ END


猿と黒ネコ

いらっしゃいませ。
このページでは、2009年10月公演の小屋入りから公演当日の様子をお届けします。
稽古中、公演中の裏話や出演者・演出の公演後記もあります。
公演をご覧頂いた方も観ていらっしゃらない方もどうぞごゆっくりご覧下さい。


10月16日 小屋入り

前回の公演に比べると格段に荷物の少ない今回の公演。
誰もが忘れ物をしているような錯覚に陥っていました。
しかし準備の時間が少ないのは、いつも通りです。全員で照明・セットの準備に追われました。

新聞紙と戯れるマツと野上。違います、これもセット作りなのです。
代表は・・・なにしてるんだろう?

灯りの位置を決めています。
サスペンションライトの担当は代表・野上コンビ。意外と息の合っている二人。
猿面は、なんでも自分たちでやります。役者も働けないとやっていけません。

飛ばして〜            はいよ〜



合間を縫っての昼食時間。
代表は、煮物(前日の残り?)を食べていた。ショーコは牛乳を飲んでいた。
シズカさんは豆サラダ、野上のアメリカンドッグにつられて、自分もつい買ってしまったマツ。


仕込み裏話写真

【裏話その1】 舞台装置の話
今回、演出家がどーしてもやりたかった舞台セットの透明な瓶。
かなり早い時期から各劇団員が収集しました。
しかし、今時は透明な空き瓶というのはなかなかないものです。
そんな中、どんな手段を使ったのか、シズカさんは着々と収集していました。
野上は、ウィスキーを購入し呑んで集めよう作戦をしたようですが、奴はそれほど飲めないため失敗に終わり、 シズカさんからノルマ分をめぐんでもらうことになりました。
集めた瓶のラベルをはがして使用し、演出家も大満足の美しいセットができあがりました。
しかし役者サイドによると、暗転になると全く見えなくなる瓶はかなり恐ろしい存在だったとのこと。
いくら移動経路に目印を付けても、瓶は怖かったようです。


10月17日 公演初日

毎度の事ながら初日は過密スケジュール。
朝一でゲネプロ(リハーサル)を開始し、急いで腹ごなしをしたら、間もなく初日の開演。
そして、これも毎度の事ながら、いろんなことが起きた初日の舞台でした。


裏話写真

【裏話その2】 野上激突の話
今回の舞台では、劇場の楽屋口の扉をセットとして使用しました。
暗転中、その扉目掛けて退場しようとした野上は何を勘違いしたのか、扉の隣にあるロッカーに激突。
あまりのことに、彼は全く痛みも感じず、どこをぶつけたのかも記憶がないそうです。(アホですね)
「漫画みたいにぶつかった感じだった」という記憶だけあるらしいです。


これまでの公演は、お客様が楽日に集中することが多かったのですが、
今回は珍しく初日の昼公演の動員数が一番多かったようです。

裏話写真

【裏話その3】 代表の苦労話
公演に先立つご案内アナウンスをマイクを通して行おうとしていた代表に演出から注文が。

「舞台袖にいるんだから、お客様に顔出してやりなさい。」 「ひえぇぇぇ」青ざめる代表。

裏話写真

そして、お上品な感じでアナウンスを練習すると、演出からの容赦ないダメ出しが。
「そんな気取ってどうする。”皆さん、こんにちわ!”と、元気一杯でやりなさい。」
「ひぇぇぇぇぇぇ」
この土壇場で思いもよらない注文をつけられ、両手に嫌な汗をびっしょりな代表。

そして、初日の一発目。
「皆さん、こんにちは!!」
と呼びかけた代表に、
「こんにちは〜!」
と大きな声で答えてくださった心優しい観客の皆様、
本当にありがとうございました


裏話写真

【裏話その4】 ホントにヤバいと思った話
芝居中シズカさん(トキワ)が野上(ジン)の首を絞めるというショッキングなシーンでのこと。
もちろん本当に首絞めたら死んじゃうので、色々工夫を重ねたシーンでもあります。
シズカさんは、夜な夜な亀のぬいぐるみを相手にリアルな絞め方を研究したそうで・・・
(想像するとコワイ)
そして本番中。いい感じにシズカさんのテンションは上がっていました。

鬼気迫るシズカさん、指先にも自然に力が入ります。

「ヤバい、この人本気かも。急所に入ってるじゃん。ホントに殺されちゃうんじゃないの、コレ」
動いちゃいけない野上は、マジで入ってることをシズカさんに知らせようと、唾をごっくんして合図。儚い抵抗でしたが、気付いてもらえたようです。

「バカねぇ、ホントに絞めるわけないでしょ。ちゃんと途中でヤバいと思ったわよ。」 と、終演後に笑顔で語るシズカさん。
「・・・途中って。じゃ、やっぱり途中までは気付いてなかったんじゃないか!」
ごっくんしといて良かった。と心の底から思った野上。
特に楽日は怖かったそうです。(テンションが最高潮になりそうだから)


【裏話その5】 救いの神の話
今回、急遽照明のオペレーションをお願いし、快く引き受けてくれた丸さん。
この劇場は事前に練習で借りることは困難なため、ぶっつけ本番に近い状況だったのにも関わらず、よくやって下さいました。
丸さんは、本番前日殆ど寝ずに台本への書き込み等の事前準備をして臨んでくれました。(そそうとは知らずグースカ寝ていた劇団員は誰だ)
しかもビデオ撮影のセッティングまでしてくれて・・・ ここまで猿面の為に尽力頂いて、いくらありがとうを言っても足りません。
丸さんがいてくれなかったら、今回の舞台はできませんでした。ありがとうありがとう丸さん


そして、夜公演も無事に終了。
時間がないので、毎度のことながら逃げるように劇場の外へ。怒涛の一日が終わりました。
駐車場で土曜担当だった受付嬢のカッちん(かなり可愛い:野上談)に皆で御礼をし解散。
全員車での帰宅なので、運転は慎重に。


10月17日 楽日

午後の公演を残すのみとなりました。朝一から集合し、準備に余念のない猿面。

今回、この床とかなり仲良しだった野上。愛着があるのか、ショーコの指示の元、丹念に雑巾がけ中


【裏話その6】 雨女封印の話

裏話写真

今回の公演は、比較的好天に恵まれました。それは、何故か。
シズカさんの髪の毛が短いから。
しかしこれ以上短いと雪を降らせるという迷信もあります。

【裏話その7】 また代表の苦労話

今回の芝居には声だけの出演だった代表。
しかし、声だけ出していたわけではありません。なんと、彼女は舞台袖で音響をやっていたのです。
猿面ならではの荒技(人手不足 誰か助けて)です。当然のことながら稽古中から苦労が絶えませんでした。
少しでもタイミングをずらそうものなら、シズカさんの容赦ない舌打ちが。(実際にしなくても心の舌打ちが聞こえる)
痩せる思いの代表なのでした。
裏話写真   とは言え、とっても仲良しな二人

シズカさんのこの衣装は、ショーコの手作りです。
ショーコのシャツも自らが加工しました。
シズカさんのは、今後誰も着れないね。スモールサイズだから。
楽日写真    楽日写真


【裏話その8】 消えもの責めの話

芝居中、飲み食いの多かった野上。今回の芝居で彼が口にしたものは、以下の通り。
カッコ内は、野上の感想。
・ビスケット (芝居開始直後、口の中がカラカラ状態でこれはきつい。歯に挟まるし。湿気てる位がちょうど良い)

裏話写真

・水 (ありがたい水分)
・牛乳 (おかげで腸がむやみに動く。芝居中にゴロゴロゴロゴロ)
・ケーキ (しばらく見たくない。)
・錠剤10錠一気飲み (特に問題なし)
17日(土曜日)は、ゲネ・昼公演・夜公演の三回分これらを平らげた野上。
そしてこのケーキ。
稽古期間中、食べやすい(飲み込みやすい)ケーキを散々野上が吟味して、ようやく某コンビニのケーキに決定しました が、小屋入り前日に野上が勇んで買いに行ったところ、商品入れ替えで既に販売終了になっていました。
「ケーキがない!」と、代表&シズカさんに泣きのメールを送った野上。
結局本番では、マロングラッセという障害物入りのケーキを食べるはめになったのでした。


楽日の舞台写真


公演後記

トキワ:芝崎静夏

シズカ顔写真

「Eden」公演を終えて・・・、
「終わった〜」という安堵と、さようならの寂しさがあります。
二度とあの世界で、トキワを生きることはないので。
今回は正直言ってキツかった。何がって?心が。
トキワの心が痛くて、痛くて。
だから終わって、ホッとしてるのも事実。
私の中に息衝いた、トキワを眠らせてあげることができるから。
すべて出し切って、いつも公演の後は抜け殻状態。
私の中のトキワが眼を閉じたら、その抜け殻に日常を詰め込んで、現実の世界に戻ります。
———それにしても、いい加減私、芝居の中で人並みに幸せになってみたいんですけど。
ダメですかね、しのださん。

2009.10.23

ジン:野上竜司

野上顔写真

今回の役は”黒猫”だといわれて、着ぐるみなのかと思った。
しかし違った。そんな可愛いもんじゃなかった。
役になりきるなんて嘘だと思ってる。だけど、同調はする。
ジンに同調すると、自分まで危うくなる。その感触がまだ生々しく残っている。
終わった実感がない。厄介だ。

2009.10.24

モーさん:山田しょうこ

山田顔写真

「モーさんとして どうだったかな」
時折、あの台詞、この台詞が頭の中をぐるぐると廻る。
そして 目に浮かぶ、オレンジ色のライトに照らされたジン(野上くん?)の、横顔。・・・あぁ。

2009.10.25

隣の女:田中綾子

代表顔写真

第10回公演が終了しました。
今回は100人を越えるお客様にご来場いただき、団員一同、大変うれしく思っています。
本当にありがとうございました。
さて、私事ですが、今回は色々あって自ら裏方を希望しました。
しかし、しのだ氏から「役者をやっておかないと使い物にならなくなるから」と声だけの役を与えられました。
声だけの役。これがまた勉強になりました。
舞台上で姿を見せれば表情や動きで表現できるが、声だけで伝えなくてはいけない難しさ。 そして裏方との両立。
これからもいろんなことを鍛練していきたいと思います。
今までいろんな方に音響や照明をお願いしていましたが、改めて助っ人の方々の凄さを感じ、 感謝の気持ちでいっぱいになりました。 ありがとうございます。そして、これからもよろしくお願い致します。

2009.10.26


作・演出 しのだ冬吾

いつもそうですが、僕が机上で創り上げた世界を観客のみなさまに受け止めてもらえるのかという危惧を抱いて本番の日を迎えます。
特に今回の芝居は、お世辞にも明るいといえる内容ではなく、見終わった後に爽快感のある類のものでもなかったため、これまで以上にその想いを強く感じていました。
僕は、”観てくれる人に何かを感じてもらえれば、それだけでいい”という想いでいつも脚本を書いています。
しかし、そう想ってはいても変な押し付けと取られないだろうかという不安は常に付き纏います。
勿論創ったものに誇りと自信を持って観ていただくのですが、その反面こうした気持ちを抱いているのも正直なところです。

「Eden」は書いている時点でわかっていたことですが、演じる役者にとってはきついものがあったと思います。
特にメインの役者には妥協を許さなかったので、無茶な要求もしました。
それは、この作品の題材について僕なりに重く受け止めていたからに他なりません。
中途半端に表現することは避けなければならない要素を持ち合わせた今回の芝居は、役者にのめり込んでもらえなければ打つべきものではないと思っていました。
役者の力がなくては、僕のホンなど何の力も持っていないのですから。

そして公演を終えた今、この芝居をやってよかったと思っています。
本番中の客席の緊張感・集中力は前回に勝るとも劣らないものがあると感じました。
僕も20代のころは都内の小劇場で芝居をしていましたが、猿面のお客様ほどの集中力を感じたことは少なかったように思います。
今回は、芝居の内容によってその緊張と集中の種類は変わるものだということを教えてもらった気がします。
前回は舞台と客席の一体感を感じていましたが、今回は打って変わって完全に分離した空間だったと言えます。

「誰かの記憶を見ているような錯覚を覚えた」

という感想をアンケートに書いてくださった方がいらっしゃいました。
これは、僕にとってこのうえなく嬉しい感想でした。今回の芝居を最高の形で受け止めてもらえたと思いました。
そのほか、この特殊なテーマについて考える機会になったと言ってもらえたことや、トキワの特異な愛に共感できると言ってくれた方が多かったことは驚きでもあり冥利に尽きる思いです。

けれど役者にも裏方にも満足できない部分は多々あります。そして、芝居の指揮を執る僕自身にも不満は数々あります。
しかし、満足なんかしてしまってはそこまでだと思っています。満足できないから続けていられるのです。
上へ上へ、高みを目指すことが僕ら自身の喜びであり、僕らの芝居を観てくださる方々への最上の応えだと思います。
また次回、みなさまの期待に応えられる猿面の芝居をつくるために僕らは一歩を踏み出します。
猿面を応援してくださる観客のみなさま、そして今回の公演にご協力頂いたすべてのみなさまに心より御礼申し上げます。 ありがとうございました。

しのだ サイン
2009.10.22


最後までご覧頂きありがとうございました。また劇場でお会いしましょう。


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