劇団猿面劇団猿面第11回公演 劇場風景

STAGE11

「しあわせ占い」
—マダム琴子の占いカフェ—
2009年10月17日/18日

↓ END


猿と珈琲

いらっしゃいませ。 このページでは、2010年11月公演の小屋入りから公演当日の様子をお届けします。
仕込み、公演中の裏話や出演者・演出の公演後記もあります。

公演をご覧頂いた方も観ていらっしゃらない方もどうぞごゆっくりご覧下さい。


11月5日 小屋入り

天気に恵まれた仕込み当日。

これから仕込み開始。道具の搬入後、持ち場へ直行の猿面一行。


仕込み写真

今回も照明セッティング担当の代表・野上のコンビ。
たとえ代表と野上の会話は噛みあってなくても、息は合っている二人。
予習のかいもあり、過去最速で完了。

仕込み写真

演出しのだは、本物の照明器具を使用するのが好み。
今回も占いテーブルの上に、このライトを設置。ちなみにこれは、某劇団員の私物。
以前からしのだに目をつけられ、脚本の時点からト書きに登場していたライトです。

予想通りの美しさに、しのだは一人密かにニヤ着いていたとか、いないとか。


9メートルの布

シズカさんと野上で買いに行った9メートルの布。
使い道は、このとおりソファのカバーです。柄は何故か象さん。
猿面裁縫部長のショーコが、公演staffのマツと共にソファの加工をしました。
誰かさんのお尻が立派なので、座ってもずれないように苦心した作品。


野上工房

仕込み写真

今回も注文多数だった野上工房。
その中のひとつ、ステンドグラス。
野上、ついにステンドグラスを作って(?)しまいました。もちろん本物じゃありません。(高価ですから。経費節約。)
”ガラス絵の具”なるもので、絵を描いて作ったそうです。
絵の具の性質上、ちまちま描くことができなかったため、下絵なしのフリーハンドで描いたとか。

劇団員のみんなに褒められた野上、

「こんな特技があっても、なんの役にも立ちませんけどね・・」と、劇中の台詞を呟く。
「猿面では役立ってるじゃない!」と、シズカさんに突っ込んでもらい、影で喜ぶ意地っ張り。

その他、千葉の情報誌「あ○るは」をもじった「あどるふ」も作り、琴子の店のポスターも作った野上工房。

仕込み写真

このポスター、
「だまって座れば ピタリと当る!」 とか、
「見料:気分 時間:無制限」とか書いてありました。

雑誌「あどるふ」にも、
「今注目のChibaを徘徊!!」(徘徊って・・) とか
「千葉公園を爺散歩」(ちい散歩?) とか
「劇団猿面「しあわせ占い」代表サイン会同時開催」(ないない) などなど

ふざけた文言が満載されていました。
もちろんそれも、すべて演出家の指示なのでした。


今回、予想以上に仕事の早かった猿面。予定の時間に昼食の買出しへ。

サングラスはシズカさんです。

シズカさんの雨女妖力は、今回発揮されず、公演中も良い天気が続きました。

どうして妖力が弱まったのか、理由はわかりませんが劇団としては、天気がいいのは大変喜ばしいこと。

「良かった良かった。」と喜びながら、近所のコンビニまで。

男手が多かったおかげで、仕込みはその後もすこぶる順調。

高ーいところから撮った舞台上の写真。

あそこにいるのは代表だ。野上リクエストの蛇口をどう設置するか検討中の模様。

音響、照明の細かい合わせも、予定よりも早く終了。

そして休む間もなく、ゲネプロ(リハーサル)を開始。
劇場退出時刻のPM9:00まで一日フル稼働の猿面でした。


11月6日 公演初日

AM8:30から続々集結した猿面。AM9:00に劇場入りし、準備ができたら即ゲネプロに突入。

ゲネを終え、本番の用意。
それが終わると、客入れ時間はもう間もなく。アップをして、楽屋に逃げ込む役者一同。

初日写真


初日写真

猿面恒例となりつつある、代表による「公演に先立ってのお願い」アナウンス。

主演女優がコレをやっていいものか一応の話し合いがありました。

「アタシはムリよ。開演前に客をひかせてもいいの?」と脅しをかけるシズカさん。

「役からして、オレはダメでしょ。」とごもっともな意見で逃げる野上。

この会話の間、気配を消していたショーコ。

そんなわけで、結局もう代表しかいない。あなたの笑顔で和ませてくれ。満場一致で今回も代表がアナウンス担当に。

そして、初日の様子を見ていた演出から代表へ素朴な質問。

「殆どのフレーズで、噛むというのはどういうことなんでしょう?ある意味すごいテクニックです。」
代表がこのアナウンスで噛むのも、最早恒例です。しかしそれは、客席の緊張をほぐすための、彼女の高等技術ということにしておいてください。

「だって、すごい緊張するんだから〜!!手がこんなに冷たくなってるのに、汗ビッショリなのよ〜」

確かに。出番直前の主演女優にアレをやらせる猿面は、非情と言えます。


非情といえば・・・

もうひとつの猿面の非情。
実は今回の音響オペレーターはシズカさんでした!
(また猿面の荒技。人手不足。ホントに助けて!)
芝居をやりつつ、舞台袖で音響もやっていたクソ(失礼)度胸とド根性。

初日写真

シズカさんから音響・照明へのコダワリについて送られてきましたので、ここでご紹介します。

「稽古風景の中で、演出以上とか言われたコダワリですが、別に小難しいウンチクや、特別なコダワリがある訳ではないのです。
考えているのは、演出家が想い描くイメージをどうしたら舞台上に表現できるかということ。
彼の創り上げる世界には全幅の信頼をおいているので、明確なヴィジョンがあるのなら極力それに近いものを作りたいと思うのです。あたりまえと言えばあたりまえのことを考えてやっているだけなのです。」

いつも演出の要望を形にしてきたシズカさん。しのだの彼女に対する信頼もまた絶大です。


初日終演

昼公演は、ノリのいいお客様多数ご来場のおかげで、大いに盛り上がりました。

そして、初日の舞台裏では今回も事件が・・・

カーテンコールを終え、幕が下りたら、客席の電気(客電)のスイッチをONする段取り。

下手にスイッチがあるため、上手に退場した野上が下手に走る予定でした。(冗談抜きで人手がないから)

幕が下りたのを見届け、スタートを切った野上。・・・しかし、なぜか行く手が真っ暗。本来なら、舞台上は明るいはず。暗い中をダッシュするのはムリと思った野上は、舞台裏を抜けていこうと、袖幕を掻き分けた。
ところがこちらも真っ暗闇、コリャダメだと引き返したところで袖幕の間に入り込んでしまい迷宮入り。
もがけばもがくほど、袖幕に巻き込まれていく野上。

「誰か!助けて、助けて〜、」
のヒソヒソ声も空しく、一人幕と戯れる野上。すっかり異次元空間に取り込まれ、狭い範囲で大冒険。
そんなこととは露知らず、舞台上手ですぐに客電がつかないのを心配するシズカさん。
「アタシのセットの仕方がおかしかったのかしら。助けに行かなくちゃ!」
と、その時、ようやく舞台上が明るくなった。
「今だ!」とシズカさんが飛び出したところに、野上がポロリ。

野 上 : やっと出た!
シズカ : あんた、ずっとここにいたの?!

脱兎の如く下手に走り客電点灯!やれやれと安堵した舞台裏でした。


照明 丸ちゃん

前回に引き続き、照明オペとして参加してくれた丸ちゃん。今回は、大道具作りにもかなり貢献してくれました。
前回は、「お手伝い」のお客様扱いだったのですが、今回はもう違います。

「丸ちゃん、もう準劇団員でいいよね」
「次は、役者もやらせるってしのださんが言ってたよ」
「次回からは弁当代、自腹ね」
「団費の支払は、まだ先でいいよ」
皆から、そんなことを言われていた丸ちゃん。
恐るべき猿面の蟻地獄。

丸ちゃん曰く、
「オレオレ詐欺並みだよね〜」

いやいや、信頼できる人だからです。
頼まなくても動いてくれて、しかも声もいい。(しのだ絶賛)
日曜大工が好きで、トランシーバー等の機器も持っている、猿面にうってつけの人材。
「こんな人材を逃すバカはいない」
てなわけで、これからも皆で頼りにしてます。


夜公演も無事終了

土曜日の受付嬢は猿面自慢のNanaちゃん・カッチンの常連コンビ。

任せて安心の二人。ステキな笑顔でお客さまに応対してくれました。

お客様を送り出したら、もう劇場退出のお時間。
楽屋の惨状には目をつぶり、劇場を後にした猿面たち。


11月7日 楽日

明けて翌日、楽日の朝。この日も朝からいい天気。
公演は昼の1回を残すのみ。時間に余裕があるので、前日の片付けやら公演準備を入念に行う猿面たち。

スナックのママ、ひとみ役のショーコは、未だかつてないフルメイク。
彼女は普段、殆ど化粧しません。
「野上くん、やって!!」
手先の器用さを買われ、手伝う野上。

「ここ、男楽屋なんですけど・・・」

個室状態で使用していた楽屋を女優陣に占拠された野上。
隣でシズカさんもメイク中。

カメラを構えているのは、我らが舞台監督。


劇中でスパイスとなったプリズム。

どのライトに、どの角度であてれば、うまく虹が出るのか検討中。

投げキッス

今回は、公演時スタッフが数多く参加して下さいました。(志願・無理矢理・仕方なく込み)
仕込みやバラシをお手伝い頂き、おかげさまで迅速に作業することができました。
また、長い拘束時間に文句も言わず、付き合ってくださった本番裏方スタッフの方々にもこの場を借りて、御礼申し上げます。
みんな、本当にありがとうございました!!

ハートマーク

  次回も待ってるよ〜!!  


主演女優 代表

主演女優
白目がちな代表のスーパーショット。
この写真載せるかどうか、本当に迷いましたが、やっぱり載せてしまいました。
本人に載せていいか問い合わせたところ、「別にいいよ」という懐ろの大きな返事。
人物ですね〜
とてもチャーミングな琴子役をやり切った代表ですが、彼女は今回とても苦労していたようです。
しのだからのダメ出しの雨あられに打たれ、「泣いても仕方ない」と涙をこらえ踏ん張った代表。


楽日の舞台写真

舞台写真舞台写真

舞台写真


ご来場、まことにありがとうございました! 劇団員一同


公演後記

琴子 : 田中綾子

琴子・代表

第11回公演終了。
ご来場いただきました皆様、ありがとうございました。

「この芝居が、成功するか失敗に終わるかは代表次第。」
最初の頃、しのだ氏に言われた言葉です。
プレシャーは感じていないつもりでした。その頃は。
しかし、公演間近だと言うのに、自分でも思うように行かず、気持ちは悶々とするばかり。

しのだ氏含め、団員、助っ人、みんなにイライラハラハラさせてしまいました。

でも、こうして無事公演後記が書けたのも、みんなのおかげです。
稽古の前や、稽古日以外に練習に付き合ってくれた。
いつも、励まし、尻を叩いてくれた。
貴重な時間を費やしてくれた。
本番では、暗転での移動に目が慣れず、舞台裏でみんなが私の手を引いてくれました。
そして、今回もお手伝いしてくださった方。新しい出会いもありました。
支えてもらう事に甘えちゃいけませんが、みんなが居るおかげで私は芝居が出来ます。
本当に感謝してます。ありがとうございます。

毎度こんなことやってらんないよ!ってみんなの声が聞こえてきそうです。
はい。私も成長せねばなりません。

(余談)
芝居の中でもありましたが、私は冷え性の汗っかきです。
なのに修ちゃんにあんなことされて。
修ちゃんいつも困ってました。その後の手のやり場に。
最後だって、「離して〜」って言いながら、実は押さえていたりして・・・。
ごめんよ、野上。
でもお願い!手の匂いをかぐのはやめて〜!!

2010.11.11


恭子 : 芝崎静夏

恭子・シズカ

“言わなきゃいけない言葉” と
  “言っちゃいけない言葉”。

言葉は何もなければ通り過ぎていくものだけど、
時には心に引っ掛かったり、残ったりするものだから。
だからこそ、大切に、見極めて。
今回、恭子に教わったこと。
“お客様を楽しませようと思ったら、
 まずは自分たちが楽しまないと” つくづく実感。

舞台上の世界の笑顔が、客席の笑顔を誘う。
今回、この芝居に教わったこと。

2010.11.11


ひとみ : 山田しょうこ

ひとみ・ショーコ

「あぁ、終わっちゃった。」
反省する所はたくさんあるけれど、楽しい芝居でした。
二人の幸せを見届け、確かに今までにない 猿面だ、と思ったけれど、
アタシは・・・?私は・・・?
今回、野上くんの横顔は、ピンク色に照らし出されていました。

2010.11.11


修 : 野上竜司

修・野上

プリズムで虹を映し出すための角度は微妙。

演じるときの、役と自分の角度は微妙。
演じるときの、相手役との角度も微妙。
うまく角度を合わせないと、影ばかり。
この「微妙」の調整が実に面白い。特にそれを感じた今回の芝居。

琴子さん、笑顔で終わってよかったね。

2010.11.12


作・演出 しのだ冬吾

「今度の猿面は、何かが違う」

猿面初のハッピーエンド。大団円。
これまで僕は脚本の中で、話の結末をつまびらかにする事を敢えて避けてきました。
これは、僕の性質もありますが、それ以外の意図もあってのことでした。
しかし、今回ははっきり決着をつけた終わり方にしました。
それは、なぜか。

つい、そんな気分になったからです。

芝居をしている役者もつい笑っちゃう、スタッフもつい笑っちゃう、それでもって観ているお客さんもつい笑っちゃう。
劇場の中が「つい」の笑顔で一杯になる、観ている人が「ついうっかり」この芝居の世界に飲み込まれる。そんな芝居にしたい、とつい思い付いたからです。そうなるともう結末はハッピーエンドしか考えられませんでした。

そして、そんな夢のような芝居の成立に邪魔だったのが、ウソの演技でした。
もちろん芝居ですから、そもそもウソの塊みたいなものですが、僕が徹底的に嫌ったのはウソの気持ち、見せ掛けだけのフリの演技です。
そんな「フリ」は、僕が見破るのではありません。観客に見破られるのです。
特に今回のような日常を描いた芝居で白々しい演技をされたら、お客様は観ていられません。

僕は、劇団参加当初からずっとそのことを言い続けてきました。
「本当の気持ちを持って、その世界で生きろ」
至難の業だと言う事は、百も承知で言っていることです。
猿面の役者は、芝居歴の長い人ばかりです。それらしい演技はします。それだけに、ともすれば独自で築き上げた彼らなりのテクニックが、彼らの本気の邪魔をします。

役の度合いと自分の度合い
この調整が出来ず「本気」が出せない役者には、いまだかつてないほどきついダメ出しをしました。
僕の意図がどうやったら通じるのか、ダメ出しをしながら僕自身も悩み続けた稽古の連続でした。

そして、本番。
彼らの舞台での姿は、僕の目には生き生きとして映りました。生きている彼らがそこにいました。
ですが、やはり満足はできません。伸びしろはまだまだあったはずです。
それでも、たくさんのお客様に楽しんで頂けたこと、一緒になって笑えたこと。このことには安堵したと言っていいと思います。
皆で悩み続けた今回の経験が、次の芝居に大きな力を与えるという確信を持つこともできました。

最後になりましたが、劇場に足をお運び頂いたお客様、協力して頂いた全ての方に感謝し、心より御礼申し上げます。
今年も皆さまのおかげで、猿面一同、夢のような時間を過ごさせて頂きました。
ありがとうございました。

しのだ サイン
2010.11.11


最後までご覧頂きありがとうございました。また劇場でお会いしましょう。


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